豪華メンバー集結の金鯱賞を分析 データ最上位はGI馬押しのけギベオン

JRA-VANデータラボ

左回り実績(芝のみ)

表4 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 また、中央競馬では少数派の左回りであることも中京の特徴のひとつ。そこで、左回りの芝コース(ほかに東京、新潟)の成績も調べてみた。ここでの注目はスワーヴリチャードで、芝2000mと急坂の実績は及第点程度ながら、左回りは連対率100.0%、重賞2勝と非常に得意としていたことがわかる。左回りでの勝ち鞍がなかったサトノダイヤモンドにしても、ハナ差のダービー2着なら適性十分と考えるべきだろう。初出走の場合は仕方ないが、左回りの実績も必須といえる。

2〜4月成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、3月を中心とする前後3カ月間の成績を示したもの。好走した6頭すべてが複勝率50.0%以上を記録し、うち4頭は重賞でも勝利と、この時期を得意としていたことがわかる。特に3〜4月は寒暖差が激しく、人間でも体調を崩しやすい時期。2〜4月に安定した走りを見せていることは思った以上に重要なのかもしれない。

結論

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は今年の金鯱賞出走予定馬だ。金鯱賞で重視したい「芝2000m」「急坂」「左回り」「2〜4月」の複勝率も付記した。

 ご覧の通り、今年はG1馬5頭を含む豪華なメンバーが出走を予定。そこで今回は厳しめに「4項目すべてで複勝率50.0%以上」を記録している馬をデータからの有力馬として紹介したい。

 結果、もっとも隙のない実績を持つのは5頭いるG1馬ではなく、ギベオンとなった。急坂のみ複勝率75.0%で、残る3項目は複勝率100.0%。キャリアは6戦と少ないが、4項目とも最低2走以上しての数値ということは記しておきたい。

 これに続くのが、左回り以外で複勝率100.0%のリスグラシューダノンプレミアム。両馬とも左回りで重賞勝利を挙げているから、実質的にはほとんど気にしなくていいだろう。ただし、昨年のダービー以来の出走となるダノンプレミアムに関しては、それ以上に体調の見極めが大事になりそうだ。

 サトノワルキューレタニノフランケルも4項目すべてをクリアした。過去2年、4角1番手の馬が2着に入っていることを考慮すると、逃げての好走実績も多いタニノフランケルは脚質から侮れない1頭といえる。

 ここまでに名前が挙がらなかったG1馬では、アルアインとペルシアンナイトは左回りの実績に乏しく、モズカッチャンは急坂をやや苦手としているのがネックとなった。また、4連勝中で注目のエアウィンザーは2〜4月の好走歴がない。とはいえ、この時期の出走自体が1回のみ、それも本格化前の3歳2月のことなので、現在は別という考え方もできなくはないだろう。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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