野球ユーチューバー・クーニンの挑戦 「うまくなりたい、真理に迫りたい」
「野球ユーチューバー」クーニンに動画制作の思いを聞いた 【スポーツナビ】
その中でも「野球ユーチューバー」のクーニンは、「qooninTV」のチャンネル登録数が30万人を超えるトップランナーの1人だ。毎日配信されている動画は、自身も所属する草野球チーム・クーニンズの活動やグラブの手入れの仕方といった身近なものから、プロ野球選手との合同トレーニングなど多岐にわたる。クーニンが横浜DeNAベイスターズのプロテストを受験する動画の再生回数は200万回を超え、軟式野球で日本最速の153キロを投げる吉岡慎平投手の投球を取材した動画は600万回を超えるなど、多くのユーザーの関心を集めた。
これらの人気コンテンツはいったいどのように作られているのか。「とにかくうまくなりたい」と語る“求道者”に、動画制作の思いを聞いた。
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「僕の動画ほど初動が低かった人はいない」
知識がない状況から独学でサムネイルなどを工夫した 【画像提供:クーニン】
「僕の本業の上司がYouTuberだったんですよ。上司はオーストリア人で、日本の文化を紹介するチャンネルをやっていたので、僕も付き合いで始めました。最初は野球の動画ではなかったんです。『パラパラチャーハンの作り方』とか(笑)、再生回数は100回もいかなかったですね。YouTuberとして初期に始めたということもありますけれど、僕の動画ほど初動が低かった人はいないと思いますよ」
最初は「マルチ系」と呼ばれる色んなジャンルの動画を投稿するスタイルで制作していたが、3ヶ月も経つとネタが尽き、悪戦苦闘。そんなとき「グラブの型付け」や「遠投」の動画などいくつか再生数の伸びるきっかけをつかむと、コンテンツを野球中心にシフト。自身の野球に対する熱い思いを動画に込め続けた。さらに本職のウェブディレクターとしての経験を生かし、テレビを参考にサムネイルやタイトルのノウハウを身につけ、「野球ユーチューバー」としての地位を確立していく。動画を毎日掲載するとなると以前はネタが尽きることもあったが、野球のネタは尽きることがなかった。
「僕は野球がうまくなりたい。根本はそこしかないんです。なので、野球に関しては気になることがすごく多いんです。プロに行く人と自分は何が違ったのか。高校時代からすごく疑問だったんです。僕の出身校は名門ではなかったので、例えば名門の智辯和歌山はどんな練習をしているんだろう? とか、うまい人はどう考えているのかなどがすごく気になる。今もずっとそれを考えています。
(投稿する動画の)カテゴリはだいたいあります。ベースにクーニンズの試合動画があり、個人的に注目する野球人のスキルアップ・ノウハウの取材。さらに新しい道具やショップを紹介する買い物シリーズ、季節ごとの野球イベントという感じです。新しく誕生する野球人はどんどん登場するので、追っかけていく上で永遠に尽きることはないです」
その活動は多くのプロ野球選手から認められている 【画像提供:クーニン】
動画制作に込める新たな思い
クーニンは動画を見ている人たちに「『もっと俺、頑張らないとな』って思ってもらいたい」と語る 【スポーツナビ】
「野球ではよく『投げ方や打ち方には正解はない』といいますけれど、速く投げる・遠くに飛ばす人に当てはまる共通点はあると思うんです。ここを押さえると誰もがホームランが打てる、140キロを投げられる、そういう理論を勉強して教えている方が世の中にはたくさんいて、さらに研究を重ねて年々アップデートされていっているんです。そこをもっと追ってきたいなあと思っています。
僕自身、そういった方たちに教えていただいたトレーニングをやると高校時代よりもうまくなっていくので、10代のうちにそういった専門トレーニングを積み重ねて、例えば高校3年間にギュッと詰め込めたとすると、その子はきっとプロになると思います。プロになるためには高校3年(もしくは大学・社会人2年目)までの限られた時間でそのレベルに到達しなければならない。
そのため何をすればパフォーマンスが上がるのか、先行して勉強してる方のトレーニングをたくさん取材して、自分もうまくなりたいですけど野球をしてる人の役に少しでも立ちたい。
また、これから芽が出てくるであろう子たちの成長日記みたいなものも動画にしていきたいんです。若く才能溢れたキラキラした子を間近に取材してパワーももらいたいですし、同世代の視聴者たちが動画を見て『もっと俺、頑張らないとな』って思ってもらいたいんです」
qooninTVを見ている人の年代はさまざまで、小中学生も多い。YouTuberが当たり前のものとなったいま、クーニンが作る動画を見て選手のファンになったり、「qooninTVを見て練習した」という選手がプロで活躍する時代もそう遠くないのかもしれない。
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