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キズナ
体操男子期待の星・萱和磨が
世界選手権前に母親へ誓った約束

大会前の神社参拝はいつしか幸運のルーティーンに

2015年の世界選手権では37年ぶりの団体総合金メダルの獲得に貢献。萱(左から2番目)は一躍、名を上げた
2015年の世界選手権では37年ぶりの団体総合金メダルの獲得に貢献。萱(左から2番目)は一躍、名を上げた【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 小学2年生の冬から体操クラブに通い始めた萱に続き、少し経つと3歳下の弟・翔悟さんも同じクラブに通うようになった。翔悟さんは努力型の兄とは反対の天才型。どんな技もすぐにできてしまうタイプで、ダンスも得意だった。その後、翔悟さんはダンスのセンスを見込まれて芸能活動へ転身。マクドナルドやバイク王、すき屋のCMや、ドラマ、映画にも出演する売れっ子になった。


 萱が体操に打ち込むようになると、恵子さんは子どもたちを連れて神社に通うようになった。体操は、ともすれば大ケガを負いかねない競技。兄弟が子どもの頃は、試合前には必ず家族で神社にお参りに行くのが習慣となった。全国大会のようなビッグイベントだけではなく、地区予選のような小さな大会でも欠かさずに足を運び、両手を合わせてきた。


 萱が順大に進学して実家を離れた後は、恵子さんが毎回必ず地元の神社に行ってお参りをし、写真を撮って萱にメールで送る。それは幸運を呼ぶルーティーンだ。

今は大会前になると必ず母親から神社の写真が送られてくるという
今は大会前になると必ず母親から神社の写真が送られてくるという【写真提供:萱和磨】

 2018年10月。萱にとって3年ぶり2度目の世界選手権となったカタール・ドーハの会場には、恵子さんと、2018年4月に大学1年生になった翔悟さんが応援に駆けつけていた。結果は団体銅メダルと個人総合6位入賞。


 試合前、母に「(団体金メダルだった)グラスゴーの感動をもう一度味わわせるからね」と言っていた目標はかなわなかったが、個人総合では日本選手最高成績。オールラウンダーとしての確かな成長を示す結果に、恵子さんは精いっぱいの拍手を送った。


<後編に続く>


(企画構成:SCエディトリアル)

【佐野美樹】

萱和磨(かや・かずま)

1996年11月19日生まれ。千葉県千葉市出身。順天堂大学所属。小学2年生のときに、体操を始め、市立習志野高校時代は全国高校体操選抜大会個人総合で優勝。順天堂大学に進学後は、2015年に全日本体操競技選手権大会のあん馬で優勝、個人総合でも6位になった。同年に英国・グラスゴーで行われた世界体操選手権にも出場すると、団体総合優勝に貢献。得意のあん馬でも3位に輝いた。2016年リオ五輪は落選して悔しさを味わったが、奮起すると2018年世界体操選手権では団体総合で銅メダルを獲得。2020年東京五輪の出場を目指す。

矢内由美子
矢内由美子

北海道生まれ。北海道大卒業後にスポーツニッポン新聞社に入社し、五輪、サッカーなどを担当。06年に退社し、以後フリーランスとして活動。Jリーグ浦和レッズオフィシャルメディア『REDS TOMORROW』編集長を務める。近著に『ザック・ジャパンの流儀』(学研新書)

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