体操男子期待の星・萱和磨が世界選手権前に母親へ誓った約束
大会前の神社参拝はいつしか幸運のルーティーンに
2015年の世界選手権では37年ぶりの団体総合金メダルの獲得に貢献。萱(左から2番目)は一躍、名を上げた 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
萱が体操に打ち込むようになると、恵子さんは子どもたちを連れて神社に通うようになった。体操は、ともすれば大ケガを負いかねない競技。兄弟が子どもの頃は、試合前には必ず家族で神社にお参りに行くのが習慣となった。全国大会のようなビッグイベントだけではなく、地区予選のような小さな大会でも欠かさずに足を運び、両手を合わせてきた。
萱が順大に進学して実家を離れた後は、恵子さんが毎回必ず地元の神社に行ってお参りをし、写真を撮って萱にメールで送る。それは幸運を呼ぶルーティーンだ。
今は大会前になると必ず母親から神社の写真が送られてくるという 【写真提供:萱和磨】
試合前、母に「(団体金メダルだった)グラスゴーの感動をもう一度味わわせるからね」と言っていた目標はかなわなかったが、個人総合では日本選手最高成績。オールラウンダーとしての確かな成長を示す結果に、恵子さんは精いっぱいの拍手を送った。
<後編に続く>
(企画構成:SCエディトリアル)
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【佐野美樹】
1996年11月19日生まれ。千葉県千葉市出身。順天堂大学所属。小学2年生のときに、体操を始め、市立習志野高校時代は全国高校体操選抜大会個人総合で優勝。順天堂大学に進学後は、2015年に全日本体操競技選手権大会のあん馬で優勝、個人総合でも6位になった。同年に英国・グラスゴーで行われた世界体操選手権にも出場すると、団体総合優勝に貢献。得意のあん馬でも3位に輝いた。2016年リオ五輪は落選して悔しさを味わったが、奮起すると2018年世界体操選手権では団体総合で銅メダルを獲得。2020年東京五輪の出場を目指す。