2020年箱根駅伝へ、強豪校の今後を展望 青学大、主力5人抜け全く違うチームに?

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選手を丁寧にサポートするチームが結果を出している

指導方は時代に合わせて変わってきた。写真は東海大の両角監督(左から2番目) 【写真:西村尚己/アフロスポーツ】

――最近の選手育成には何か傾向があるのでしょうか?

 われわれの時代はとにかく距離を踏んで練習を多くして、ペース配分を体で覚えるというやり方でした。徹底的に走り込んでロスをなくして失速しない選手を育てる。強烈な練習をする中で、切磋琢磨(せっさたくま)し、淘汰(とうた)されて生き残った選手が強いと。

 でも今の指導者の育成は適材適所、一人一人の選手の個性や特性を見ながら、その子に合った育成方法を考えて、助言を送ります。本人もそれに合った体や心のつくり方をしていきます。なので、闇雲に練習をするわけでもありませんし、時計を使えばとにかく距離を踏んでペース配分を(体に)覚えさせるといった必要もないわけです。シューズ選びもそうですが、自分に合わせた練習をしていけばいいのだと思います。

 その中で「自分はハーフに向いているから長い距離をしっかりとやっていこう」とか「トラック型なのでスピードを生かしてやっていこう」という個人の発想があると思います。それをチーム全体の色に染めるのか、それとも5000メートルや1万メートルのスペシャリストとして育てていくのか。長い距離を徹底的に走れる選手は長距離を走らせるなど、距離別に分けていくといった育成の仕方もあると思います。

 全体を見ると1万メートルのタイムがすごく上がっていますよね。1万メートルとハーフ中心に育てていくのが今の主流なのかなと思います。5000メートルはそこまですごく上がっているというわけではありません。どちらにせよ私が現役の頃とは同じ「走り込み」でも意味が違ってきているのでしょう。

 最近は指導が非常に丁寧になってきました。監督以下コーチがいて栄養士やトレーナーもいて、選手を丁寧にサポートして強化しているチームがうまく結果を出している感じがします。

選手を知ると箱根はもっと楽しめる

――今回、箱根駅伝を見て陸上熱が盛り上がっている人もいるかと思います。今後も続くロードやトラックシーズンの楽しみ方を教えてください。

 まず今回の箱根で興味を持った選手が出る試合をチェックしてみてください。各大学のホームページもありますし、今回総合優勝した東海大の選手をはじめ、ツイッターなどのSNSをやっている選手もたくさんいます。彼らの発言を知って、興味を持ち続けていくというのもひとつの方法だと思います。

 また、今回日本大が「関東インカレ成績枠」で箱根駅伝に出場しました。この枠を獲得できたのは、日本大の短距離陣、フィールド陣の活躍があったからです。優勝した東海大は短距離も強い。(北京五輪銀メダリストの)末續慎吾選手を輩出するなど、名門中の名門です。

 箱根駅伝で大学名を知り、「(彼らの陸上部は)他にどのような活動をやっているのだろう?」と調べた先に、「ああ、東海大は短距離も強いんだ」と見ていただけたら面白いのではないでしょうか。館澤選手の1500メートルでの挑戦や、阪口選手の3000メートル障害でのチャレンジも、その中にあると思います。青山学院大は昔から女子の短距離が強いチームで、OGには短距離のスター選手がたくさんいます。「ここの大学の選手はたくさん実業団に行ってマラソンでも活躍しているな」「短距離選手もたくさんいるんだ」といったように見ていただくと、面白さが広がるのではないかと思います。

――来年の箱根駅伝まで、いろいろな形で選手の活躍が楽しめますね。

 箱根駅伝から市民ランナーになった人もたくさんいます。市民ランナーとして活動している過去のスター選手でもいいですし、知っている人を探してみると、一緒に走るチャンスもたくさんあると思います。これで陸上に興味を持って走り始める子どもたちがたくさん出てきたらいいなと思いますし、大人でも「ちょっと運動しようかな」という人が少しでも増えたら、よりうれしいですね。

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