今年も楽しみな馬が揃った阪神JF データ推奨馬はシェーン、ダノン、ビーチ

JRA-VANデータラボ

「2勝馬」の前走クラスおよび着順別成績

表10 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表10は2勝馬に限ったデータで、上半分は前走クラス別成績、下半分は前走着順別成績を示している。まず前走クラス別成績だが、明らかに好走率が高いのは前走G2。すなわち、デイリー杯2歳Sか京王杯2歳Sから臨む馬がいれば要注意の存在ということになる。そのほかのクラスに関しては際立った差は見られない。

 次に前走着順別成績。ここで注目すべきは、「前走2、3着」の好走率が高いことだ。そして、これは2勝馬に限ったデータなので、該当するのは「すでに2勝を挙げ、前走で2、3着に入った馬」ということになる。こういう馬がいれば狙ってみる価値はありそうだ。「前走1着」の場合は、0秒1以上の着差をつけていれば【5.6.2.29】、勝率11.9%、複勝率31.0%なのに対し、タイム差なしの0秒0だと【1.0.2.18】、勝率4.8%、複勝率14.3%というデータが残っていることも記しておきたい。なお、「前走4着以下」の2勝馬は、30頭で3着1回のみとかなり苦戦している。

「1勝馬」の前走クラス別成績

表11 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表11は、1勝馬に限った前走クラス別成績。まずいえるのが、前走が500万下やオープン特別だった計25頭は、1頭も好走していないことだ。また、前走未勝利戦で唯一の好走例というのがG1を6勝する名牝ブエナビスタだから、これは例外と考えるべきかもしれない。

 よって1勝馬を狙うのであれば、基本的には前走重賞か新馬戦ということになる。まず、重賞から好走した4頭中3頭は前走2着。もう1頭は前々走で重賞2着があるので、1勝馬といえども重賞での好走実績は必須といえる。また、新馬戦から好走した3頭には、いずれもノーザンファームの生産馬という共通項があった。

結論

 今年の阪神JF登録馬23頭のうち、「上がり1位で1着」「芝1600m以上で1着」の実績をいずれも満たすのが11頭いる。この11頭を2勝馬と1勝馬に分けて、分析したデータから有力と思われる馬を探していきたい。

 2勝馬にあたるのはグレイシア、クロノジェネシス、シェーングランツ、ダノンファンタジーの4頭。このうち前走11着のグレイシアは表10のデータから強調しづらいが、残る3頭は前走で2着馬に0秒1以上の差をつけて1着という条件をクリアした。そこでデビュー月とキャリアを確認すると、表7と8で見た「8月までにデビューを済ませたキャリア4戦以内の馬」を満たすのはシェーングランツダノンファンタジー。とはいえ、9月デビューのクロノジェネシスも、ノーザンファームの生産馬のため克服する可能性はある。また、関西遠征となるシェーングランツは前走出走時474キロで、関東馬で重要な馬体重も大丈夫そうだ。

 1勝馬はサヴォワールエメ、タニノミッション、トロシュナ、ビーチサンバ、ベルスール、メイショウショウブ、ラブミーファインの7頭。

 表11の項で述べた通り、基本的に1勝馬は前走重賞か新馬戦。まず、前走重賞の場合は重賞での好走実績が必要となり、これを満たすのはアルテミスS2着のビーチサンバ、函館2歳S2着のラブミーファイン。この2頭では芝1200mの函館2歳Sより芝1600mのアルテミスSを上位にとりたいところで、ノーザンファームの生産馬ということも加味するとビーチサンバの名前を挙げたい。前走新馬戦組からは、ノーザンファーム生産馬のトロシュナはデータからチャンスあり。ただし、タニノミッションは母が06年に当レースを勝った名牝ウオッカで、血統的に怖い存在ではある。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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