アーモンドアイに「負ける要素」はあるか 競馬のプロが激論、ジャパンC記者座談会

競馬専門紙「優馬」

意地を見せるか 古馬たちの強固な包囲網

前走久々の勝利をあげたサトノダイヤモンド(左)(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

伊利「先ほど、アーモンドアイのオークスの時計面での優秀さが話に上がりましたが、サトノダイヤモンドの一昨年のダービーは、2分24秒0でコンマ2秒遅いとはいえ、これは中盤に13秒台のラップが出現したためで、後半1000mはアーモンドの59秒6に対し、サトノは58秒0と、1秒以上も速かったんですよ。東京2400mのパフォーマンスは、こちらが上と見ていいのではないでしょうか」

大江原サトノダイヤモンドは、4歳時の海外遠征後に調子が戻らなくて低迷が続いたけど、前走の京都大賞典は完全復活とまではいかないものの、この馬らしさは取り戻した勘を受けたからな。ダービーでハナ差2着の舞台に不足はないし、モレイラ騎乗も心強いよ」

久光「春の敗戦時や久々だった前走は、直前も6ハロンから強い負荷をかける調教でしたが、今回は3歳の強かった時期と同じく4ハロン追いに戻しての調整。これこそ、本来のサトノダイヤモンドに戻った証明と捉えたいですね。本来なら現役最強馬として君臨していたはずの馬の完全復活に、一票を投じます」

デスク「陣営もさぞやトーンが上がっているんだろうな」

那谷「前走に関しては、牝馬の2着馬に半馬身差、走破時計もラスト3ハロンも平凡だったと言えるんだけど、この中間は3週連続で速い時計をマークして、最終追いも“これまでは併せ馬で抜け出す時にモタモタしていたけど、久々にスッと引き離した”と、池江寿師も話していたほど。“完全復活”という言葉こそ出なかったけど、心身ともに更に良くなっているのは間違いないよ。個人的には菊花賞や有馬記念を勝った時に比べると物足りない気がするけど、ここまで戻ってのモレイラ騎乗なら勝負になっていいと思うぞ」

坂倉「僕はスワーヴリチャードの巻き返しに期待してます。前走の天皇賞は、スタートで立ち遅れて接触し、4コーナーでも不利があって最後はジョッキーも無理をしなかったように見えましたし、全くの参考外と言っていいですからね」

西田「そんな前走で力を出し切っていないことで、疲れもないはずですし、ここへ向けての状態面での上積みは十分に見込めますよね。前走を除けば、東京ではダービー2着を含めて5戦全てで馬券圏内の馬ですし、私も巻き返し十分と見てます」

板子「ここにレイデオロが出走していれば、ここまでアーモンドアイに人気が集中していなかったはずですが、そのダービーでレイデオロにコンマ1秒差のスワーヴリチャードを見直す手も十分にありますよね」

持木「天皇賞では全くリズムに乗れないままで終わりましたが、本来は好位で脚を溜める競馬ができる馬ですからね。アーモンドアイよりも先に抜け出して追撃を封じるシーンが目に浮かびますよ」

広田「陣営も、前走については不利が応えたことや展開も不向きで全く競馬をしていないとの見立てで、力負けでないことは一目瞭然でしたからね。今回も奇数番を引いたことでスタートが鍵とはなりますが、“馬の状態は完璧”とミルコ騎手も話してましたし、スムーズな立ち回りができれば、巻き返しがあっていいでしょう」

武井「◎アーモンドアイを脅かす存在として、見直しが必要だと思うのは昨年の覇者シュヴァルグランですよ。前走の京都大賞典は、ラスト3ハロンのラップが12秒1−11秒2−11秒8と、正味2ハロンの瞬発力勝負になり、長く脚を使うタイプのこの馬にとっては最悪の流れでした。今回は天皇賞でロングスパートをかけたキセキをはじめとして、しっかりとした先行馬も揃っていますし、淀みのない昨年のような流れになればチャンスはあるはずです」

「前走後のシュヴァルグランは、ゆっくりと回復を待って調整を進めてきたので10月中は目立つモノがなくて当然でしたが、月が替わって少しずつ気配が上がり、ここ2週は目に入りました。日曜には、結構速めに飛ばしてポリを1周し、そのまま時間をあけずに坂路で気分よく時計を出しましたが、“JCで勝負するならこれ位やってくれないと”と思わせるに十分の準備運動で、この時点で“今年もこの馬に期待できる”と感じましたよ」

広田「武井さんも言われていたように、前走はこの馬には厳しい瞬発力勝負となった上に、本質的には叩き良化タイプですから、陣営も“一度叩いたことでいいガス抜きになった”と言ってましたよ。昨年と同じステップで連覇の可能性も十分あると言えますね」

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著者プロフィール

競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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