今年のマイルCSはGI好走馬が多数激突 過去10年データ分析から浮上する馬は?

JRA-VANデータラボ

前走富士S、スワンSからの好走馬

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は、出走馬の多い富士S、スワンS組の好走馬15頭である。このうち、09年のマイネルファルケ(富士S)、ファイングレイン(スワンS)を除く13頭はすべて、前走で1〜2番人気に推されるか、連対を確保していた。なお、表の右にあるG1実績については後述する。

前走天皇賞(秋)、毎日王冠、府中牝馬Sからの好走馬

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 続いて表6は、前走天皇賞(秋)、毎日王冠、府中牝馬Sからの好走馬7頭だ。こちらは天皇賞(秋)組こそ前走人気、着順は問われないが、毎日王冠と府中牝馬S組はやはり、前走1〜2番人気か、連対していることが好走条件になる。表5もあわせると、前走が天皇賞(秋)以外なら、前走人気、着順のいずれかが「2以内」に収まっているかどうかがポイントだ。

 また、この表5〜6の22頭のうち、16頭はG1で3着以内の好走実績を持っていた。残る6頭中3頭はG1未経験馬で、G1に出走経験がありながら馬券圏内のなかった馬は3頭にとどまる。

前走富士S、スワンS、毎日王冠、府中牝馬S組の、前走人気・着順別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は、前走富士S、スワンS、毎日王冠、府中牝馬S組について、前走人気・着順別の成績をまとめたものである。このうち、好走確率が高いのは人気、着順ともに「2以内」を満たす「1〜2番人気・2着以内」の馬で複勝率は50.0%。単複の回収率なら、前走人気だけを満たす「1〜2番人気・3着以下」が高い。一方だけを満たす馬なら、前走着順よりは前走人気を重視したい。

結論

 表2にあったように、近年の傾向からはまず、2〜4番人気に支持される馬を連軸に据えたい一戦だ。現時点で判断はやや難しいが、特に5歳(表3)の該当馬がいれば、下記に挙がっていなくても評価を上げたい。

 上位人気が予想される中で注目したいのは、前走・天皇賞(秋)で5番人気4着だったアルアインだ。好走確率の高い4歳の牡馬(表3)で、天皇賞組なら前走人気・着順は不問。また、天皇賞組の好走馬3頭のうち、サダムパテック、イスラボニータはともに、前年の皐月賞連対馬(表6)。残るカンパニーも前走の天皇賞で1着と、すべて2000mのG1連対馬だった。アルアインは、昨年の皐月賞でペルシアンナイトを2着に下し優勝。4番人気以内に支持されれば有力だ。

 人気どころからもう1頭挙げれば、1番人気で毎日王冠を制したアエロリット。表7の4レースで「1〜2番人気・2着以内」なら複勝率は50.0%。牝馬や毎日王冠組は全体としては劣勢だが(表3、4)、牝馬でも1〜4番人気なら【1.0.2.2】で複勝率60.0%をマークしている(表3)。また、同年の安田記念2着馬は高回収率を残し、過去10年でも該当3頭とはいえ複勝率33.3%と、数字自体は決して悪くない。安田記念の雪辱を果たす可能性も大いにありそうだ。なお、その安田記念を制したモズアスコットが仮に2〜4番人気だった場合も、特に減点材料はなく有力な候補。1番人気だったとしても、3着の候補から外すほどではない(表2)。

 ほかに、少々穴っぽいところでは、5歳(表3)のエアスピネル。昨年の本競走2着は近年、強調材料にまではならないものの(表1)、G1実績(表5〜6)という意味ではプラス材料。加えて富士S1番人気での4着敗退は、回収率面で魅力がある(表7)。また、同じく5歳のロードクエストは、スワンSの優勝馬(2番人気)。16年のNHKマイルC2着でG1実績もクリアしており、こちらも穴候補としておもしろい存在だ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。

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