ドラフト直前、各球団の「穴」を可視化 埋めるべきは高校生?それとも即戦力?
広島:求む「タナキクマル」の後継者候補
穴:19−21歳の外野手
リーグ3連覇を果たした“常勝”広島。新井貴浩は引退するが、主力はこれから脂が乗る選手が多く、FA流出さえなければ今後数年間は安泰だ。しかし“その後”を考えると、やや心配。内外野ともに若手の数が少なく、今のうちに「タナキクマル」の後継者を手に入れるべきだろう。捕手は坂倉将吾、中村奨成がいる。来季のことを考えると即戦力投手、特に左腕を加えたいところだが、ショートを守れる高校生の1位指名はチーム編成としても理にかなっている。黄金期を継続しつつ、さらに発展させるためには、未来への投資が重要だ。
ヤクルト:将来の軸と即戦力左腕を!
穴:19−21歳の捕手
穴:19−21歳の外野手
今季は2位躍進に成功した東京ヤクルト。ベテランの頑張りと3度目のトリプルスリー・山田哲人の充実ぶり、さらに昨年のドラフト1位・村上宗隆の台頭(2軍で17本塁打をマーク)は頼もしい限りだが、30代がそろう主力の高齢化は気になるところだ。まずは将来、打線の軸となれる高校生が欲しい。内野手の数はそろっているだけに、編成上は外野手が適しているが、果たしてどうなるか。同時に、即戦力左腕は必ず指名したい。昨年のドラフトでは投手4人を指名したが、いずれも右腕だった。高校生捕手も補強ポイントになるが、まずは1年目からバリバリ働ける左腕を手に入れたい。
巨人:新時代のスター候補を手に入れろ!
穴:19−21歳の捕手
穴:19−21歳の内野手
穴:19−21歳の外野手
3度目の就任となった原辰徳監督のもとで立て直しを図る巨人。低迷打破のため、そして3度目の原体制のスタートとして、それにふさわしい選手の指名を期待したい。来季のV奪回を考えると即戦力投手、中継ぎ左腕がほしいところだが、チームの年齢分布を見ると圧倒的に高卒の若い選手が不足している。昨年は2位以下で野手を計7人(社会人4人、大学生2人、高校生1人)、育成枠でも計6人の野手を指名したが、今年もイキのいい若手、特にスター性、話題性のある高校生を指名し、新時代到来を印象付けたい。高卒4年目・岡本和真の成功が、その後押しとなるはずだ。
DeNA:有望な高校生&地元出身者を狙え
穴:19−21歳の捕手
穴:22−25歳の捕手
穴:19−21歳の内野手
飛躍が期待されながらもBクラスに終わった横浜DeNA。昨年一本釣りした東克樹が新人王確実の活躍を見せたが、チームとしてはまだまだ足りない部分が多い。特に捕手は明らかな補強ポイント。トレードで伊藤光を手に入れたが、将来に備えて若い捕手は指名したいところ。もちろん即戦力投手は是非ともほしいが、チームバランス的には、捕手とともに高校生の左投手と内野手も加えたい。最激戦区・神奈川を戦った地元の高校生を指名し、自らの手でレギュラーに育て上げる。そのストーリーを、ファンも支持するはずだ。
中日:若手野手の大量指名を!
穴:19−21歳の捕手
穴:22−25歳の捕手
穴:19−21歳の外野手
穴:22−25歳の外野手
与田剛新監督のもとで世代交代を推し進めたい中日。ここ数年、チームを引っ張ってきたベテランが相次いで引退しているが、現状のメンバー構成を見ると、まだまだ20代後半に選手が固まっており、若手野手の不足が目立つ。特に、捕手と外野手は大きな補強ポイント。次代を担う若手をチームに招き入れなければ、チームの改革も進まない。思い切った高校生の大量指名もひとつの手段になるだろう。また、昨年指名した投手4人は、いずれも右腕だった。今年のドラフトでは、左投手を1枚ないしは2枚、チームに加えておきたい。
阪神:スター高校生獲得へ向かうか?
穴:19−21歳の捕手
穴:19−21歳の内野手
穴:19−21歳の外野手
17年ぶりの最下位に沈んだ阪神。金本知憲前監督のもとで『超変革』を推し進めてきたが、21歳以下の若手選手が極端に不足する現状は変わらない。矢野燿大新監督の“初仕事”に注目が集まる中、来季のためには即戦力投手の獲得が不可欠な一方、将来を見据えると、チームの顔になれる高校生野手を上位で指名すべきだろう。昨年は1位指名した清宮幸太郎(日本ハム)、安田尚憲(ロッテ)をクジで外した。今年こそスター高校生を手に入れることができるか。1位で願い通りの結果になれば、2位以下で左腕と捕手を指名したい。
(文・三和直樹、グラフィックデザイン・山崎理美)