若き才能の躍動とベテランの安定感。“えどりく”不敗神話は『19』に

【©ジャパンラグビーリーグワン】

戦いへの期待感は観客動員数という分かりやすい数字になって表れた。前売りチケットはソールドアウト。澄んだ陽の光が真冬の寒気を溶かす中、“聖地”スピアーズえどりくフィールド(江戸川区陸上競技場)の客席はオレンジ、そしてブラックをまとった4,484人超満員札止めのファンで埋め尽くされた。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ(以下、S東京ベイ)はスタンドオフの岸岡智樹が15番、さらにはチームに加入したばかりの“シューター”ことショーン・スティーブンソンがさっそくベンチ入り。対するリコーブラックラムズ東京はワールドクラスのスクラムハーフ、TJ・ペレナラが10番に。双方ともにイレギュラーなチーム編成で臨むことになった。

一見すると、それはチャレンジングな采配のように思える。しかし、今季のS東京ベイにとってそれは決して冒険的なものではない。苦戦を強いられ、前年度の優勝から6位と大きく後退した昨季。そこで得た学びとプレシーズンに積み上げたチーム力。そうした基盤の上に、すべては構築されている。

昨季入団したばかりであるにもかかわらずレギュラーに定着した感のある江良颯や為房慶次朗。かつて立川理道、ライアン・クロッティが背負っていた12番、13番には廣瀬雄也、リカス・プレトリアスが立つ。昨季、苦しみの中で育まれた新たな希望。いま、ニュージェネレーションの台頭が、チームに新たな勢いをもたらしている。

「こうして出場を続けられているのはコーチ陣、そしてチームみんなのおかげです。昨季はいいプレシーズンを過ごせて、いい準備ができました。今季の私たちのスローガンは『TAKE YOUR SHOT』ですが、チームのために毎試合、ショットしていきたいです」(プレトリアス)

そしてこの試合では、過去2戦で観る者の心臓をこするような接戦を展開してきた難敵から力強い勝利。昨年11月のフランス代表戦以来、約2カ月ぶりの戦線復帰となった立川は次のように語る。

「昨シーズンで得た学びをプレシーズンで話し合いながら乗り越えて、今シーズンに臨みました。チーム力は良くなっていると思います。まだ評価をする段階ではないかもしれませんが、ここまでの5戦、タフなチームを相手に勝ち越せたのは大きいと思います」

S東京ベイが不敗神話を築く“えどりく”。同会場での連勝記録はこれで19に伸びた。若き才能の躍動とベテランの安定感が融合し、チームは新たなステージへと駆け上がろうとしている。

(藤本かずまさ)
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