1年目から結果が求められる与田新監督 どんな現状でも“優勝”の二文字を
一度だけ直撃経験、感じた真摯さ
今シーズン復活を遂げた松坂(写真左)とは第2回WBCで同じユニホームを着たこともあった 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
事前のアポもなければ、全くの初対面。名刺を渡すのも初めてだった筆者の行動は、今でも失礼極まりなかったと反省している。ところが、突然の問いかけにも嫌な顔一つ見せることなく、解説者・与田氏は足を止めて正対し真摯に答えていただいた。
「(代表合宿に参加していた)当時、WBCの使用球を操れないというのが全ての源で、最終的にコントロールできないというのが、(代表から落選した)一番の原因でした。滑りやすいと言われている球だったので、山井投手にはどうしても合わず難しかったんだと思います。投球フォームも滑らないように投げないといけないので、怖々と投げていましたから。日本の公式球に変わり、握っている感覚が怖くなければ、他のところもしっかり強く使えることで力感も変わってきます。意識としても変わったのではないかなと思っています」
その他の質問にも1つ1つ丁寧に応えていただくと、最後には「また、いつでも聞きに来てくださいね」と温かい言葉までいただいたことに恐縮するばかりだった。
愛されるだけでなく、勝てる監督に
だからこそ、与田新監督は就任1年目から結果で示す必要がある。前に述べた大型トレードもしかり、風当たりが強くなりそうな大胆なチーム改革も、チームを強くするという信念の下であれば、非情も理解を得ることができる。それは生え抜き監督ならではの特権でもあるだろう。
「やっぱりプロ野球は仕事ですから、責任もあります。戦いの中で勝っていかないと、仕事は果たせない。そういうところを(選手には)再認識してもらいたい」
就任会見を迎えたこの日、唯一厳しさを込めた言葉だった。与田新監督は愛されるだけでなく、勝てる監督だと信じている。
(高橋健二/ベースボール・タイムズ)