名物記者は乗り替りワグネリアンを無印に 外野の声に陣営は?神戸新聞杯の座談会
競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会
様相はダービー馬と皐月賞馬の一騎討ち
急きょの乗り替りが心配されるワグネリアン(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】
桜井「もちろんその2頭の一騎討ちと見ていいでしょうが、ダービーでの半馬身差はその着差以上に能力の差があったと言えますね。ここはワグネリアンの能力が最上位であることに疑いの余地はありませんし、昨年に続いてダービー馬が貫禄を示してくれるはずです」
中邑「対戦比較上では1勝1敗ながら、皐月賞で崩れたワグネリアンに分が悪いという見方もできますが、皐月賞は力の要る馬場に加えて特殊な展開になり、全く流れに乗れませんでしたからね。一方で、エポカドーロは、皐月賞、ダービーともに展開の利があったと言えますし、ダービーで好位からキッチリと差し切って見せた内容がワグネリアンの本来の能力を示すものだと思います。気性的に久々は苦にならないはずですし、輸送の短い関西圏のレースの方が、より力を発揮できるでしょう」
広田「ダービーでは意識的にポジションを取りに行く競馬で枠順の不利も克服しましたし、何より福永騎手の執念を感じさせる騎乗に、馬が応えての勝利でしたね。気になる仕上りについて、陣営は“夏を無事に越せたことで心身ともに成長した。稽古でも背中の使い方が上手になっているし、柔軟性も失われないように調整ができた”とのことで、秋の使い出しとしては万全と見ていいでしょう」
デスク「ただ、これは福永の落馬負傷による急きょの乗り替りが鍵となるよな。ダービーが鮮やかだったからこそ、余計不安なんだが」
広田「代打を努める藤岡康騎手は春にも調教で跨いでいたので“当時との比較もできるから心配はない”と、陣営は外野の声を一蹴してましたし、そういう面での不安はないと思いますよ」
田崎「ワグネリアンは、皐月賞を除けば上手に立ち回れているとはいえ、僕はイメージ以上に乗り難しいタイプと見ています。そういう意味でも主戦が乗れないことに不安は残りますし、そもそも目標が次という点を考え併せれば、今回は静観したいですね」
デスク「そうか、田崎の予想欄が“……”になってたのは、印を付け忘れたわけではないのだな」
須藤「僕は、エポカドーロの安定感を買いたいですね。皐月賞の勝利に続いて、ダービーでも2着という走りは、単に展開に恵まれただけではできない芸当だと思いますし、メンバーを見渡すと今回も楽に主導権を握れそうですからね。軸としての信頼度はかなり高いと見ています」
菅「これまた仕上りが鍵となりますが、“放牧先でもしっかりとリフレッシュできた。早めに帰厩し順調に攻めを消化して、追うごとに動きが良化。1週前に好時計を出して今週は感触を確かめたが、まだ成長の余地を残しながら心も体もフレッシュな状態で、秋緒戦へいい形で臨める”と、陣営も好仕上りをアピールしてましたよ。春より数字以上に体を大きく見せる姿からも、ワンランク上がった走りを期待できそうです」
田崎「僕は、ダービーの1・2着馬よりも、エタリオウを上位に取りました。そのダービーは初めて本気で走った感も受けた中での少差4着でしたし、まだ伸びしろは十分で、ここは注目の秋緒戦になると思います」
市場「内で脚が溜まりに溜まったとはいえ、スローの前残りの中で4着まで追い上げたエタリオウのダービーは、実はこの馬が一番強い内容だったのではないかとすら思えますね。そのダービーは出遅れただけで、本来はポジションにこだわらずに運べる馬ですし、十分に調教を積んで動きも良く、好仕上りだと言えますよ」
那谷「俺は関係者から“エタリオウの成長度はワグネリアン以上”という話も耳にしているぞ。2400mのキレ味勝負では後塵を拝す可能性もあるけど、菊花賞はこの馬だと思っているし、“先物買い”という意味でもここであえて狙ってみたいな」
広田「僕も友道厩舎の担当として、ワグネリアンではなくエタリオウを◎としたのは、そのあたりの取材の感触からです。春先から集中力を欠く面があって、陣営も色々と試行錯誤して、ダービーでもけっしてスムーズな競馬ではなかったですが、中身の濃い内容でしたからね。“ひと夏越して背丈が伸び、体にも幅が出てきたことで、ようやくこの馬が持っている能力に体が追い付いてきた”というコメントにも期待が表れているように思いますし、“距離は延びれば延びるほどいい”とのことから菊花賞ではより注目を集めることになりそうですが、前哨戦で僚馬を負かすシーンがあっても驚けませんよ」