ミランダ、メルセデスは大当たり 途中加入した選手の活躍度チェック

ベースボール・タイムズ

すぐに結果を残した育成契約の選手たち

7月7日に育成から支配下登録されると、8月末までに5勝をマークした巨人のメルセデス 【写真は共同】

 近年、シーズン途中の補強策として多く用いられ、成果を出しつつあるのが、育成枠を外国人選手に適用する手法である。昨季で言えば、バティスタ(広島)が成功例。未知数でも将来性のある若手外国人を日本で育て、日本野球に順応させる。日本式の指導、トレーニングを受けて“化ける”選手もいる。

 フランスア(広島)は、バティスタ同様にカープアカデミー出身者。今季育成選手としてスタートすると、2軍での活躍が認められて5月に支配下登録。するとその後も左腕から150キロを超えるストレートを軸にブルペンを支え、ここまで36試合1勝3敗16ホールド1セーブ、防御率1.68の好成績を残している。同じドミニカ共和国出身の左腕、メルセデス(巨人)の活躍も目立つ。17年に育成選手として来日すると、2年目の今年7月に支配下登録され、先発としてデビュー2戦2勝。さらに8月2日のDeNA戦で来日初完投、24日の阪神戦では来日初完封を飾るなど、ここまで8試合5勝2敗、防御率1.66と救世主に相応しい働きを見せている。

 その他、日本人では大竹耕太郎(ソフトバンク)が、プロ初先発初勝利を挙げて先発ローテーション入り。ここまで4試合で1勝止まりも、3試合でQSをクリアして試合は作っている。故障を乗り越えた久保裕也(東北楽天)もリリーフで奮闘し、古野正人(東京ヤクルト)は8月29日に1161日ぶりの白星を挙げた。まだまだ“これから”の若手も多いが、育成出身の外国人と故障明けのベテランは1軍昇格後、すぐに結果を残した。

育成から支配下登録された選手一覧(日付はNPBの公示日、成績は9月3日時点)
・R.マルティネス(中日)4月19日:7試合1勝3敗、防御率6.65
・久保裕也(楽天)5月5日:22試合1勝0敗3ホールド、防御率1.90
・フランスア(広島)5月21日:36試合1勝3敗16ホールド1セーブ、防御率1.68
・アダメス(巨人)6月16日:19試合0勝2敗1ホールド4セーブ、防御率3.09
・メルセデス(巨人)7月7日:8試合5勝2敗、防御率1.66
・福敬登(中日)7月19日:1軍登板なし
・マルティネス(巨人)7月27日:19試合、打率1割8分、2本塁打、5打点
・石橋良太(楽天)7月27日:1軍登板なし
・古野正人(ヤクルト)7月30日:2試合1勝1敗、防御率5.00
・歳内宏明(阪神)7月30日:1軍登板なし
・大竹耕太郎(ソフトバンク)7月30日:4試合1勝0敗、防御率3.04
・松原聖弥(巨人)7月31日:1軍出場なし
・田村丈(DeNA)7月31日:1試合0勝0敗、防御率18.00
・佐野皓大(オリックス)7月31日:1軍出場なし

NPB復帰を果たした選手たちは?

 初来日となるとリスクは高い。どれだけ力があっても、日本特有のプレースタイル、気候、生活に順応することが先決になるからだ。そのリスクを避ける意味で、本来の意義とは異なる点はあるが、育成枠が補強の有効な手段であることは間違いない。

 それと同じ理由で、過去にNPBを経験した選手たちはある程度の計算が立つ。今季はヒース(西武)が5月にBCリーグ・富山から3年ぶりにNPB復帰。広島時代に2年間で50試合に登板して防御率2点台の成績を残していたが、それ以上の存在感で首位快走を支えている。7月に加入した中後悠平(DeNA)、岩本輝(オリックス)も1軍で登板済み。しっかりと期待に応えている。欲を言うならば、ここに村田修一(BC栃木)の名前が欲しかったが……。独立リーグ出身者がシーズン途中からでもNPBで結果を残せば、「独立リーグ→NPB」ルートがさらに開けるはずだ。

過去NPBでプレーした選手で支配下登録された選手一覧(日付はNPBの公示日、成績は9月3日時点)
・ヒース(BC富山→西武)5月15日:32試合3勝1敗9ホールド8セーブ、防御率2.43
・中後悠平(米マイナー→DeNA)7月5日:8試合0勝0敗1ホールド、防御率3.68
・岩本輝(BC福井→オリックス)7月9日:14試合1勝2敗5ホールド、防御率3.86

 トレード、来日、昇格、復帰……。形はどうであれ、シーズン途中での新たな挑戦には並々ならぬ決意が必要になる。残り1カ月、そんな彼らに注目し、エールを送りたい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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