今季のレッドソックスは史上最強か!? 皮肉なボストニアンも行く末を楽観視

杉浦大介

圧巻だったヤンキース戦スイープ

新任のコーラ監督の下、シーズン115勝を挙げるペースで勝ち進んでいるレッドソックス 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

「今季のレッドソックスはチーム史上最強かもしれない(This just might be the best Red Sox team…ever)」

 8月3日(現地時間)、『ESPN.com』にそんなオーバーな見出しの記事が掲載された。いくら何でも真夏の段階でそううたうのは少々早計すぎるように思うが、今季ここまでのレッドソックスの強さがそれだけ印象的ということなのだろう。

 特にオールスター以降は18勝6敗、8月は11勝2敗と快進撃を続け、8月15日を終えて86勝36敗(勝率7割5厘)。その過程で強豪チームも蹴散らしており、中でも8月上旬のヤンキース相手の4戦スイープは圧巻だった。

 こちらも好調の地区ライバルとの注目シリーズで、レッドソックスは最初の3試合は合計23対9という一方的な内容で圧勝。唯一、5日のゲームは8回まで1対4と厳しい流れだったが、9回に3点を奪って追いつき、延長10回にサヨナラ勝ちを飾った。打ち合い、接戦、投手戦とさまざまな展開でヤンキースを粉砕したこの4試合で、レッドソックスの魅力と底力は改めて際立ったといっていい。

86年ぶり世界一のチームが最強?

 「(リードされていても)負けるなんて思わなかった。接戦にさえ持ち込めば追いつけると考えていた。僕たちは絶対に諦めない。それを今日、示せたはずだ」

 シリーズ終了後、ムーキー・ベッツが残したそんな言葉に今では誰もがうなずくことだろう。8月中旬時点でシーズン115勝を挙げるペースで勝ち続けており、地区2位のヤンキースに10.5ゲームの大差をつけている。1912年にマークしたフランチャイズ記録のシーズン105勝を更新する可能性は十分。それどころか、06年のカブス、イチローのデビュー年にあたる2001年のマリナーズがマークしたメジャー史上最高のシーズン116勝にすらも手が届くかもしれない。

「僕たちはそういったことは気にしない。それはあなたたち(メディア)が書くことで、僕たちは次の仕事に向かっていくだけだ」

 主砲のJD・マルティネスはヤンキースとのシリーズ後にそう述べていたが、これほどの強さを周囲が放っておくわけがない。今後、米国内ではレッドソックスに対する注目度は嫌が応にも高まっていくに違いない。

“レッドソックス史上最高のチーム”を問われたとき、多くのファンは04年のチームを挙げるはずだ。この年はワイルドカードでプレーオフ進出すると、ヤンキースとのア・リーグ優勝決定シリーズでは3連敗の後に4連勝。劇的な逆転勝利の余勢を買って、そのまま実に86年ぶりとなるワールドシリーズ制覇を果たした。

 打線にはマニー・ラミレス、デビッド・オルティス、ジョニー・デイモン、投手陣にはカート・シリング、ペドロ・マルチネスといったカラフルな役者を揃えたパワーハウス。華やかさは群を抜いており、ボストンで信じられていた“バンビーノの呪い”の歴史を変えた功績は永遠に語り継がれていくはずだ。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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