【新日本プロレス】飯伏が盟友オメガを下し優勝決定戦へ 内藤はザックに屈し連覇の夢断たれる

高木裕美

石井はSANADAを破り殊勲の勝ち越し

石井(右)はSANADAを破り最終戦で勝ち越しを決めた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 今シリーズ、シングル王者3人から勝利した石井智宏は、最終戦でもSANADAを破り、内容の濃い勝ち越しを決めた。

 SANADAはプランチャを放つと、石井の弱点である首を攻め、エルボーを連発。しかし、石井はひるむどころか、どんどん前へ前へ出て行くと、お返しの串刺しラリアット、滞空式雪崩式ブレーンバスター。SANADAもフランケンシュタイナー、スワンダイブ式ミサイルキックでやり返す。石井が先に逆Skull Endを仕掛ければ、SANADAもスライディングラリアットからのTKO。バックドロップ、エルボーの打ち合いから石井がラリアット、パワーボム、スライディングラリアット。SANADAはSkull Endからラウンディングボディープレスを放つも、かわされて着地。2発目もかわした石井は、SANADAの師匠である武藤敬司の技シャイニングウィザードを発射。叫んで気合を入れると、延髄斬りの打ち合いから頭突き、ラリアット、垂直落下式ブレーンバスターの猛ラッシュで接戦を制した。

 これで石井は5勝4敗10点の単独5位で終了。優勝争いには絡めなかったが、IWGPヘビー級王者のオメガ、NEVER無差別級王者の後藤洋央紀、IWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンと、シングル王者3人から勝利していることから、秋以降はタイトル戦線に名を連ねることは必至だ。

 一方、SANADAは4勝5敗8点の単独6位。惜しくも負け越しとはなったが、身体能力やテクニックの高さを証明してみせた。

王者対決はジュースが後藤に勝利しリベンジ

US王者・ジュース(右)とNEVER王者・後藤の戦いはジュースに軍配 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGP USヘビー級王者のジュース・ロビンソンはNEVER無差別級王者の後藤洋央紀とのシングル王者対決を制し、過去のリベンジを果たした。

 両者はNEVER王座を賭けて2度対戦しているが、いずれも王者・後藤が防衛に成功している。

 ジュースは自ら左手のギプスをはずし、素手で試合に臨むと、キャノンボール、エルボー、ナックル、逆水平チョップなどをためらいなく発射。後藤も村正、バックドロップ、牛殺しで反撃に出るも、ジュースはスパインバスター、ダイビングボディーアタック、プリンスズスロウンで躍動。左のナックルからのパルプフリクションで3カウントを奪った。

 これで両者共に3勝6敗6点の7位タイ(最下位)。後藤は08年には初出場初優勝、16年にも準優勝しているが、NEVER王者として臨んだ今年は上位選手にことごとく敗れ、最後には手負いのジュースにまで星を献上してしまった。

 一方、ジュースも負傷した左手が順調に回復の兆しを見せ、後半戦では自らギプスをはずして戦う様子も見られたが、この1年間、オメガ、ジェイが高めてきたベルトの価値に疑問視がつけられるような戦績であったことは否めない。後藤、ジュースとも、王者として秋以降のタイトル戦線でどう落とし前をつけるのかが課題となりそうだ。

バレットの暴挙にメイ社長、菅林会長も登場

BULLET CLUB OGの度重なる暴挙に、メイ社長(左)も怒り心頭。会場からの追放を命じた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 タマ・トンガはBULLET CLUB OGの乱入こそ阻止されたものの、またも試合をブチ壊し、矢野通が反則勝ちをGETした。

 今シリーズ中、反則・乱入行為を繰り返してきたBULLET CLUB OGに対し、新日本は「BULLET CLUB OGの選手が試合に介入した場合、3カ月間の出場停止とする」と警告。これを知った矢野は、むしろ反則をさせるようにあおってみせるが、レフェリーからの注意を受けたセコンドのタンガ・ロアは、中指を立てながら退場する。「フェアプレイ日大」など、すでに忘却の彼方へ捨て去った矢野は、ゴングと同時に丸め込みを仕掛けると、その後も鉄柵攻撃、高速コーナーマットはずし、背後からの悪質タックルなど、反則行為を連発。しかし、そこにBULLET CLUB OGのタンガ、バッドラック・ファレが花道に姿を現したため、若手選手、さらにはハロルド・ ジョージ・メイ社長、菅林直樹会長までもが立ちはだかり、試合への乱入を阻止した。だが、彼らがリングに近づく前に、トンガは矢野に背後から襲い掛かると、さらにレフェリーにガン・スタンを放つ暴挙に出たため、即座に反則のゴングが打ち鳴らされた。

 この行為を受け、BULLET CLUB OGの3選手は武道館から強制排除。第8試合前にその情報がアナウンスされると、場内からは大きな拍手が起きた。

 結果としては、両者共に3勝6敗6点の7位タイ(最下位)。とはいえ、反則負けで黒星を積み重ねてきたトンガに対し、矢野は反則で白星を獲得。しかも、オメガ、飯伏のゴールデン☆ラヴァーズの2人に勝利していることから、IWGP王座挑戦の可能性も十分ある。一方、トンガは試合中の反則行為だけではなく、SNSでの不適切発言等に対しても、新日本サイドから「しかるべき処置を行う」という通達が出ていることから、今後、どのような処分が下されるのか気になるところだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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