甲子園に届かなかった逸材たちの夏 通算75発の強打者や鉄腕エースの足跡
明徳義塾:市川悠太(投手)
強豪・明徳義塾の鉄腕エース・市川。高知大会決勝・高知商戦でまさかの10失点を喫し、最後の夏を終えた 【写真は共同】
右横手から140キロ台後半のストレートとスライダーを武器に、昨秋はチームを神宮大会初優勝に導いた鉄腕エース。今夏は準決勝の土佐戦で7回コールドながら1安打完封するなど、決勝進出までの3試合で3失点(自責点1)と抜群の安定感を見せた。しかし、決勝戦では高知商打線に14安打を浴びて10失点……。2回に3点を失うと立ち直ることができず失点を重ねた。
松商学園:直江大輔投手(投手)
バランスのいい投球フォームから伸びのあるストレートを投げ込む本格派右腕。昨夏の甲子園では142キロを記録し、今年はU−18侍ジャパン代表候補にも選出された。今夏は4回戦・上田千曲戦で7回コールドながら3安打完封。リリーフした準々決勝・岡谷南戦では自己最速の145キロを記録するも、9回に痛恨のタイムリーを浴び、2年連続甲子園はならなかった。
倉敷商:引地秀一郎(投手)
同校OBの故・星野仙一さん(楽天監督ほか)ばりの闘志むき出しの投球スタイルで、球威は今年の高校生ドラフト候補でも一番と評価が高い。初戦・岡山南戦では13奪三振、1失点完投に、サヨナラ打(2対1)と投打に活躍。151キロを計測した準決勝の創志学園戦では、2年生ながらU−18侍ジャパン代表候補の西純矢と息を呑む投手戦を演じたが、わずかに及ばず。自身初の甲子園はならなかった。
埼玉栄:米倉貫太(投手)
185センチの長身から投げ下ろす速球は威力抜群で、東北時代にダルビッシュ有(米大リーグ・カブス)を育てた名将・若生正廣監督の秘蔵っ子として注目を集めた。2回戦の細田学園戦では12奪三振、2失点と潜在能力の高さを見せたが、4回戦の川口市立戦では5回5失点。まだまだ線も細く、未完の大器がこれからどう成長するか楽しみだ。
甲子園で見たかった球児たち
三重の豪腕、菰野・田中法彦は、今夏初出場を飾った白山との3回戦で1点リードの7回からリリーフ登板。自己最速の152キロを投げ込むも、3回4失点でまさかの逆転負け。
堅守のショートとして高評価だった天理・太田椋は奈良大会決勝で奈良大付にサヨナラ負け。2年連続甲子園出場はならなかったが、2本塁打を放ち、打撃でも成長を見せた。
広角打法が持ち味の延岡学園・小幡竜平は宮崎大会初戦の宮崎工戦に7対8で敗れた。3点ビハインドの延長12回、5打席連続無安打だった小幡は追い上げの2ランを放って意地を見せた。
2年生ながら154キロを記録して、“大谷翔平二世”と話題を呼んだ岩手の大船渡・佐々木朗希投手。初戦の盛岡三戦で11奪三振、2失点完投勝利したが、2回戦の西和賀戦では登板なく、チームも2対3と敗退した。
ほかにも、昨夏の甲子園で3本塁打を放った青森山田・中澤樹希也、“群馬のドクターK”こと藤岡中央・門馬亮、躍動感のある速球派左腕の藤嶺藤沢・矢澤宏太、技巧派サウスポーの彦根東・増居翔太、昨夏の甲子園で2打席連続本塁打を記録した神戸国際大付・谷口嘉紀、昨夏の甲子園で打率6割・2本塁打の明豊・浜田太貴ら、甲子園で見たかった球児たちが地方大会で夢破れた。