手軽に始めやすい、続けやすい。ウォーキング教室で奥深き「歩き」の世界を知る
一方で“歩き”はすべての運動の基礎・基本であり、ケガのリスクが少ないことから、運動習慣のない方のダイエットにも有効です。そこで今回は、初心者から競歩選手までさまざまな方を対象とする、明石顕さん（2005年、2007年世界陸上50?競歩出場）のウォーキング教室を取材しました。競歩の魅力、正しい歩き方を学びます。
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2度の世界選手権出場を誇る明石顕さんから直接指導
明石さんは高校時代まで水泳に取り組みながら、国内最難関の東京大学に入学して陸上（長距離）を始めた珍しい選手。ケガのリハビリとして競歩に取り組むようになり、わずか1年余りで学生トップクラスに上り詰めたことから「東大生ウォーカー」として注目を集めました。
その後、みるみるうちに日本のトップ選手として台頭し、2005年と2007年には世界選手権（世界陸上）の男子50km競歩に出場（15位、16位）。2008年に記録した自己記録3時間50分11秒は、当時日本歴代4位（現11位）の好タイムでした。現役時代から高齢者向けの健康ウォーキングや競歩の教室を実施しており、2012年に35歳で現役引退。現在は毎週土曜日に母校・東大で後進の育成にあたるほか、日曜日は月イチで『代々木交友会』のウォーキング教室に赴いています。
日本の競歩は2015年、2017年の世界選手権、2016年のリオ五輪と、3年連続でメダルを獲得しており、いまや日本の“お家芸”と言っても過言ではありません。高校の全国大会“インターハイ”の正式種目として採用された2002年以降は徐々に競技人口も増え、かつてない盛り上がりを見せています。
「僕が引退してから6年くらいしか経っていませんが、競歩の注目度は確実に上がってきています。ずっと競歩に取り組んできた関係者としては、素直にうれしいです」（明石さん）
代々木公園にて月1回のウォーキング会
朝9時にスタートすると、まず全員で体操やストレッチを行い、ゆっくりと1?ほど歩きます。身体を温めたところで、今度は明石さん主導で各種ドリルを行っていきます。
そして競歩や健康ウォーキングにとって必須ともいえる“腕振り”を学びます。競歩の動きは腰をクネクネと動かす独特のフォームが特徴的ですが、ただ腕を振るだけでなく、腰の動きをつけることで歩幅を広げる効果をもたらすのだそうです。
「腰は横ではなく“前後”に動かします。そうすることで1歩の幅が広がり、全身運動につながります。競歩に取り組まない人でも、覚えておくと正しい歩き方につながりますよ！」（明石さん）
ウォーキングの魅力は「手軽に始めやすく、続けやすいこと」
「ウォーキングは走るよりも体力が必要ありませんし、手軽に始めやすく、続けやすい、という側面があります。それまで運動をしてこなかった方が、突然走り始めて膝を痛めるケースがありますよね。そうしたリスクを抑えるためにも、まずはウォーキングから入ってもらうのもいいのかなと思います。あとは歩くフォームや、良い歩き方を追求していくと、これが意外と奥が深いんです。だから今日みたいに講習会を開くと、特に男性の方は積極的にアドバイスを求めてきますね。でも、実際は女性の方が飲み込みは早くて、綺麗なフォームをしている人が多いのですが……（笑）」
今回はウォーキングの基本指導がメインでしたが、“競歩”を教わりたい方は、『陸歩クラブ』という専門のクラブチームで練習を積むケースが多いとのこと。現在はマスターズ陸上（35歳以上の壮年向けの大会／5歳ずつでクラスが区切られる）で競歩に出場する方も増えているようで、そうした方はより専門的な指導を受けることができます。
競歩を始めたいと思っている方、何か運動を始めたいと思っている方、ダイエットを考えている方は、そのきっかけとして『ウォーキング教室』に参加してみてはいかがでしょうか。目標に向けて1歩前進できるかもしれませんよ？
[取材協力]
代々木交友会
ウォーキングや競歩を通じて、美しく楽しく歩くことを目指したウォーキングクラブ
＜初級クラス＞
・これから歩きを始めたいと思っている人
・楽しく歩いて、健康を維持したい人
・きれいに美しく歩きたい人
＜中級クラス＞
・すでに歩き大会などで自己流で歩いている人
・競歩技術でより速く歩けるようになりたい人
・速歩で5km程度歩ける人
＜上級クラス＞
・マスターズ陸上に出ている人（出たい人）
・さらに高い競歩技術を身につけたい人
・競歩で10kmを80分以内で歩ける人
【ホームページ】http://yoyogi-walking.com/
＜Text＆Photo：松永貴允（H14）＞
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