ホンダがV候補も実力差はどこも紙一重 2018年都市対抗見どころ

楊順行

連覇狙うNTT東日本は調子上向き

史上6チーム目の大会連覇を狙うNTT東日本。直前のJABA北海道兼東北大会で優勝するなど調子は上向き 【写真は共同】

 ヤグラをAゾーンから見ていくと、まず注目は昨年優勝のNTT東日本(東京都)だ。春先の四国、日立市長杯というJABA2大会で4強入りと、まずまずの滑り出しだったが、「1球へのこだわりが薄くなったというか、どこかゆるんだ雰囲気」だったと飯塚智広監督は振り返る。だが、推薦出場で予選がなく、本大会前最後の公式戦・JABA北海道兼東北大会に「絶対に優勝」と挑むと見事にそれを達成。

 西村天裕(北海道日本ハム)、渡邉啓太(千葉ロッテ)の抜けた穴を埋めるのは、2年目の堀誠だ。昨年は都市対抗、日本選手権だけではなく、AWBでも24回を投げて防御率1.13と自信を深めた。投手陣はほかにベテラン右腕・大竹飛鳥、4年目左腕・沼田優雅らが控える。打線では主将の喜納淳弥、いぶし銀の活躍を見せる越前一樹、それに潜在能力が開花した伊藤亮太が、東邦ガス(東海・名古屋市)の熟練エース・小椋健太をどう後略するか。

 Aゾーンはほかに、統合2年目で充実した戦力の三菱日立パワーシステムズ(=MHPS、西関東・横浜市)は昨年の4強、駒大苫小牧を04〜05年夏の甲子園連覇に導いた香田誉士史監督が率いる西部ガス(九州・福岡市)も面白い。

各地の第1代表そろったCゾーン

 Bゾーンは東芝(西関東・川崎市)、JR東日本(東京都)、西濃運輸(東海・大垣市)と10年代の覇者が揃う。東芝は7回優勝と、出場チーム中最多。エンゼルス・大谷翔平の兄の龍太がいるトヨタ自動車東日本(東北・金ケ崎町)との対戦だが、ここには西村祐太(JR東日本東北)、小島康明(きらやか銀行)と、都市対抗で実績のある2人の投手が補強されているから、初出場といえども侮れない。JR東日本と西濃運輸も、1回戦屈指の好カードだ。ほかに、14〜16年と連続8強入りした日本新薬(近畿・京都市)もこのゾーンにいる。

 Cゾーンは東京、中国、九州、近畿、北関東と、第1代表が5チームそろった高水準ゾーン。ことに、3年ぶり出場のSUBARU(北関東・太田市)は、都市対抗経験豊富な角田皆斗を軸に、3年目の高橋史典、2年目の黒川雄太朗らの投手陣が安定している。北関東2次予選3試合で、わずか3失点だ。打線では古川幸拓と樋口拓真の新人1、2番の俊足が機能。ことに古川は2次予選で5割超の打率と6盗塁を記録した。日本通運は南関東第2代表だが、大学時代からプロ注目だった2年目の生田目翼が、肩痛もいえて頼れるエースに成長。南関東2次予選では、2試合17回を無失点だ。また昨年のパナソニック戦でノーヒットノーランを達成した阿部良亮も元気。打線は2年連続打点王の関本憲太郎、4番の北川利生らがすっかりチームの顔だ。

 ……とここまで書いてきたが、出場32チームの実力差は紙一重で、ことに1回戦はなにが起こるかわからない。前年優勝チームが敗れることもあれば、クラブチームが強豪にジャイアント・キリングを果たすこともあるのが都市対抗だ。NTT東日本の史上6チーム目の連覇はなるのか。トヨタ自動車が昨年の日本選手権に続いて秋夏連覇か。あるいは1956年の日本石油(現JX−ENEOS)の初優勝以来、優勝の最長ブランクは4年という神奈川。13年のJX−ENEOS以来、東芝かMHPSが5年ぶりのVなるか。それとも……。

 夏の高校野球も100回目で盛り上がっているが、東京ドームで繰り広げられる社会人野球の祭典も熱いですよ。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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