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メッシ、ロナウド、そして“ティキタカ”
主役が次々と早期敗退、波乱続きのW杯

積年の課題を露呈したスペイン

PK戦の末、開催国ロシアに番狂わせを許したスペイン
PK戦の末、開催国ロシアに番狂わせを許したスペイン【写真:ロイター/アフロ】

 その翌日にはスペインまでもが姿を消した。10年の南アフリカ大会を制したベテラン組を中心に、誰もがうらやむ潤沢な戦力を擁しながら、ラ・ロハ(スペイン代表の愛称)は大会初戦の2日前に生じた監督解任劇による衝撃を乗り越えることができなかった。


 スペインフットボール協会のルイス・ルビアレス会長は、W杯後にレアル・マドリーの監督に就任することを発表したフレン・ロペテギを解任し、スポーツディレクターを務めていたフェルナンド・イエロに今大会の指揮を託した。


 だがトップレベルの選手がそろっているはずの守備陣には以前のような安定感が見られず、“ティキタカ”と呼ばれる華麗なパスワークを駆使していくらボールを独占しても、肝心のシュートチャンスを作り出すことができなかった。


 ポルトガルはもちろん、イランやモロッコにも大苦戦を強いられたスペインは、超守備的な戦略で臨んできたロシア相手に何年も前から抱えてきた課題を露呈することになった。それはボール支配率の高さに対し、作り出せるチャンスとゴールの数が少なすぎることだ。


 ロペテギもイエロもジエゴ・コスタを1トップに据える4−5−1のシステムを用い、2列目、3列目のMFたちがゴール前に侵入してチャンスを作り出す形を試みた。だが自分たちの技術レベルへの過信からか、指揮官の意図とは裏腹に選手間のポジションチェンジの動きは乏しかった。その結果、スペインはひたすら中盤でショートパスをつなぎ続け、前半終了時点でロシアの5倍ものパス本数を積み重ねながら、セットプレーによる1ゴールしか奪うことができなかった。


 一方のロシアは相手が格上であることを認めた上で、潔く専守防衛を貫いた。彼らがPK戦に賭けていたことは明らかで、結局はその賭けに勝つことになった。


 コンフェデレーションズカップでの惨敗を目の当たりにした1年前の時点で、ロシアが8強入りを果たすことなど誰が予想できただろうか。


 だが今は状況が変わった。波乱に満ちた今大会は、われわれの想像をはるかに上回る結末が待っているかもしれない。


(翻訳:工藤拓)

セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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