大谷、打撃解禁で大きな一歩も… まだ見えぬ「投手・大谷」の復帰目処

丹羽政善

右ひじ側副靭帯損傷が発覚後、バットを振らずブルペンで目慣らしをする大谷 【写真は共同】

 28日午前(現地時間)、エンゼルスの大谷翔平は、痛めた右ひじ側副靭帯の再検査を受けた。結果、両手での打撃練習が解禁され、早速午後から通常の打撃練習を行ったよう。同日、電話会見に応じたビリー・エプラーGM(ゼネラルマネージャー)は、「問題がなければ、今週末にも実際の投手の球を打つことになる」と今後のプランを明かした。

 実戦復帰に向けた次の段階に関しては、マイナーでのリハビリではなく、管理された環境を想定し、非公開で行われる見込み。アリゾナのキャンプ施設などで毎回打席に立つ特別ルールの練習試合などを重ねる可能性もある。復帰時期に関してエプラーGMは、「未定」としているが、経過次第ではオールスター前の復帰もあり得るのかもしれない。

 もっとも、ここまではある程度予想されていた。

打撃だけなら患部に影響はなし

 大谷翔平の右ひじ側副靭帯損傷が明らかとなった6月8日以降、複数の専門家に意見を求めたが、反応は一様に楽観的だった。

「程度にもよりますが、靭帯を損傷していたとしても、通常の打撃の動きの中で悪化させる可能性は低い。打撃は問題ないのでは」

「打撃もだめ、というレベルなら、手術が必要だということ」

 さらには、こんな話も聞いていた。

「極端な話、痛みさえ我慢できるなら、靭帯が切れていても打撃はできる」

 そうした証言の信憑性はこの日、奇しくもエプラーGMが裏付けている。

「私自身、いろんな形で(影響を)聞いた。例えば、スイングするとき、左手でリードする形になるが、大丈夫か? と言ったことを。ただ、(ドクターの見解は)そうしたことで悪化することはないだろう、とのことだった」

 そもそも、最初にMRI(磁気共鳴画像診断装置)検査を受けたとき、チームドクターらは、「指名打者だけなら、打っても構わない」というものだった。しかしチームとしては、今季中の投手としての復帰を考えた。その場合、あの段階で治療を優先する必要があった。自身の血液から採取した血小板を使って組織の修復や再生を図るPRP注射を打ったのも、あくまでも投手復帰を見据えての治療――。

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著者プロフィール

1967年、愛知県生まれ。立教大学経済学部卒業。出版社に勤務の後、95年秋に渡米。インディアナ州立大学スポーツマネージメント学部卒業。シアトルに居を構え、MLB、NBAなど現地のスポーツを精力的に取材し、コラムや記事の配信を行う。3月24日、日本経済新聞出版社より、「イチロー・フィールド」(野球を超えた人生哲学)を上梓する。

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