クロアチア代表の合言葉は「今でしょ!」 モドリッチらは最後の好機を生かせるか?

期待されるも国際舞台で結果を残せず

モドリッチ(左)ら主力選手たちにとって、今大会は国際舞台で結果を残せる最後の好機となる 【写真:ロイター/アフロ】

 今やらずして、いつやる――。ワールドカップ(W杯)ロシア大会への出場権を獲得して以降、このスローガンがクロアチア代表の合言葉となっている。なぜ「今」なのか、理由は明白である。現在の主力選手たちにとって、国際舞台で結果を残せる最後の好機が今大会なのだ。ダボル・スーケルやズボニミール・ボバンらがチームを3位に導いた1998年のフランス大会以来の快挙を狙えるラストチャンスとなる。

 これまでクロアチア国民は、ルカ・モドリッチやイバン・ラキティッチ、マリオ・マンジュキッチを擁する今の代表チームに多大な期待を寄せてきた。しかし、この世代はいまだに輝かしい成績を残せずにいる。ユーロ(欧州選手権)2012での失意に続き、4年前のW杯ブラジル大会でもグループリーグ敗退。ユーロ2016では、スペインを抑えてグループ首位通過を果たし、一時は“ダークホース”として注目を集めたが、結局、ベスト16のポルトガル戦で延長戦の末に0−1で苦渋をなめた。

 気付けば、世界的なスター選手であるモドリッチ(32歳)を筆頭に、複数の選手が結果を残せないままおそらく最後になるW杯を迎えている。30歳のラキティッチでさえ大会後の代表引退をほのめかしており、何かを成し遂げるなら「今しかない」のだ。

カリニッチ離脱も影響なし

カリニッチが離脱もするもアルゼンチンに3−0と快勝した 【Getty Images】

 だからこそ今大会は結果にこだわっている。それがチームの重圧になりかねないと懸念されたが、今のところプレッシャーに屈する様子はない。6月16日(現地時間、以下同)に行われたナイジェリアとの初戦は、第三者には凡戦に見えたかもしれないが、戦術面で十分に狡猾(こうかつ)さを発揮した上での手堅い2−0の勝利と呼べる。そして、その試合で巻き起こった思わぬカオスにも的確に対応してみせた。

 ナイジェリア戦の試合終盤、「腰が痛い」との理由でFWニコラ・カリニッチが交代出場を拒否したのだ。これにズラトコ・ダリッチ監督は断固とした態度を示し、同選手を強制帰国させたのである。こうした規律違反を容認していては、チームワークなど成り立たない。指揮官の判断は全面的に支持された。たとえ戦力が1人減っても、チームにとって有害となりかねない不満分子は早急に排除すべきなのだ。

 いずれにせよ、数日後にはカリニッチの名前を口にする者などいなくなっていた。21日のアルゼンチンとの第2戦に3−0と快勝したことで、話題はそちらで持ち切りとなったのだ。

「クロアチアがアルゼンチンを粉砕」

 ニジニ・ノブゴロドでの試合後、そんな見出しがクロアチアの紙面やニュースを飾った。日本のサッカーファンもその目で確認しただろう、いくらアルゼンチンが精彩を欠いたとはいえ、クロアチアは実力で完全勝利を収め、1試合を残して決勝トーナメント進出を決めたのだ。

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著者プロフィール

1961年2月13日ウィーン生まれ。セルビア国籍。81年からフリーのスポーツジャーナリスト(主にサッカー)として活動を始め、現在は主にヨーロッパの新聞や雑誌などで活躍中。『WORLD SOCCER』(イングランド)、『SID-Sport-Informations-Dienst』(ドイツ)、日本の『WORLD SOCCER DIGEST』など活躍の場は多岐にわたる

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