ホンダ、新型PU投入で大きな前進 ドライバーは数値以上の威力実感

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ホンダの進化はまだ途上

カナダGP名物のイカダレース。トロロッソ・ホンダチームも参加した 【Toro Rosso】

 スペック2を使って予選で12番グリッドを手にしていたブレンドン・ハートレーが、1周目にランス・ストロールと絡んでリタイアしてしまったのは残念だった。ハートレーのポジション取りを非難する声もあったが、ストロールと僚友セルゲイ・シロトキンの車載映像を見比べてみれば、ターン5でストロールは明らかにスロットル開度が高く、オーバースピードでリヤが流れてアウト側にいたハートレーを巻き込んでしまっているだけに、ハートレーにこれを予測しろというのは無理だ。

 いずれにしても入賞圏を争うチャンスを失ってしまったことに変わりはなく、思うように結果の出ていないドライバーに対して必要以上にシート喪失のプレッシャーをかけることがチームにとって本当にプラスに働いているのかどうか、トロロッソのドライバー人事権を持つレッドブル首脳陣は再考すべきだろう。

 バーレーンと似たようなストップ&ゴーの特性を持つジル・ビルヌーブ・サーキットだったが、トロロッソのマシンは決して最高の仕上がりというわけではなかった。リヤのスタビリティが不足し、ブレーキングでも立ち上がりでもドライバーたちはやや苦労しながらの走行を強いられていた。

 それでもバックストレートでフォース・インディアやハースをオーバーテイクすることができたのは、やはりスペック2の威力があったからだ。

「このパワーユニットのアップデートが今後一貫してトップ10に入るチャンスをもたらしてくれると思っているよ」と、ガスリーはこれでマシンパッケージの底上げがなされると笑顔を見せた。

 しかしホンダとしてはまだまだこれで満足するつもりはない。

「HRDさくら(栃木県の研究所)で開発を一歩一歩積み重ねてきて、それが今回サーキットでの一歩につながったということです。でも急にドンとパワーアップするというようなことはありませんから、今回は『ちょっとは進歩が見られたね』という感じではないかと思います。2〜3戦いろいろなサーキットを走って確実にライバルを超えたなと思ったら、その時はお話しできると思います。でも(ルノーに)追い付いたところで(メルセデスAMGやフェラーリ)との並びの中ではどうってことないですし話になりませんから、まだまだ追い付いていかなければいけません」

 一歩一歩前へ進むトロロッソ・ホンダのシーズンは、まだ3分の1が終わったところに過ぎない。残り3分の2でどこまでいけるのか、次の一歩が楽しみだ。

(テキスト:Mineoki Yoneya)

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