見る者の胸を打ったイラン対モロッコ 過酷な消耗戦で見せた限界のプレー
後半アディショナルタイムのオウンゴールが決勝点に
後半アディショナルタイムのオウンゴールが決勝ゴールとなった 【Getty Images】
この時間帯のモロッコの多彩な攻めと、ボールを失った後の守備は「イランとはレベルが違う」と感じた。オランダメディアの速報を読んでも「モロッコが攻撃的で面白いサッカーをしている」とあった。
しかし、この攻勢を生かせずゴールを奪えずにいると、イランの割り切った守備の前にペースを崩し、やがて守備にも乱れが生じるようになった。その後はモロッコがボールを持っても、アタッキングサードでのアイデアを欠き、後半に至っては35分にツィエクが得意の左足シュートでイランゴールを襲うまでチャンスはゼロだった。
試合は後半のアディショナルタイム5分、イランが得たFKをエフサン・ハジサフィが蹴り、モロッコの選手のオウンゴールを誘って決勝点となった。だが、私の集計では後半のイランはシュートゼロのまま終わってしまった。
インテンシティーの高い試合は、足をつるなどアクシデントが続出した 【Getty Images】
イラン・ケイロス監督「しっかり痕跡を残したい」
国際政治の影響を受け、難しい調整を強いられたなかで結果を残したケイロス監督 【Getty Images】
国際政治の影響を受け、大会前の親善試合のキャンセルが続いてしまったハンディを乗り越えて幸先良いスタートを切ったイランの次の相手はスペインだ。「今度は“(イランにとって)ユニバーサルな決勝戦”だ。スペインにはブラジルから帰化した選手(ジエゴ・コスタ)までいるんだ(笑)」とケイロス監督。
「B組がスペイン、ポルトガルという強国ぞろいになって、イランはこの大会を経験の場にするか、それともグループリーグ突破を狙うかの2択だった。そして私達はイラン国民に対して『グループリーグを突破することを試みる』というロイヤリティーを示して戦うことにした。
イランは大会前の合宿ができず、試合もできなかった。国際政治の問題がある中、何とか選手たちには楽しんでサッカーをしてほしかった。W杯は世界の強豪国が集まる舞台だ。イランも、その32カ国の一員として、しっかり痕跡を残したい」(ケイロス監督)
グループBはイランが首位に立って第1節を終えた。