「5レーン」「ハーフスペース」とは? 現代サッカーの戦術を分かりやすく解説
ビルドアップにおける5レーン理論
例えば、CBからサイドバック(SB)へパスを出す。ボールが移動する間にSBは相手からのプレッシャーを受け、同時に次のパスの受け手もマークされてしまえば、前方へのパスの出しどころがなくなってしまう。では、ハーフスペースを活用した場合はどうか。
ビルドアップにおけるハーフスペース活用の代表例として2つを挙げる。1つはインサイドハーフがハーフスペースで受ける形。もう1つはSBがハーフスペースで受ける形だ。
【図4】 【スポーツナビ】
【図5】 【スポーツナビ】
どちらのビルドアップでも、ハーフスペースへの選手の移動に伴って周囲のポジショニングを変化させている。それによって守備側に選択を迫っていることが大きなポイントだ。相手を迷わせ、選択をさせ、それによって生じる位置的な利点、ないし質的な利点を生かしていこうという考え方だ。
攻撃だけでなく、攻撃から守備への切り替えや守備そのものにおいても5レーンやハーフスペースは活用されている。こうした考え方全般をポジショナル・プレーと呼ぶ。チェスから生まれた用語だそうだ。将棋なら、王手飛車取りのような状況を相手に強いるプレーの仕方になるだろうか。
ポジショナル・プレー、5レーン、ハーフスペースはいずれも考え方を表したものにすぎない。それらの用語が知られる前から、すでにフィールド上で行われていて、プレーを説明したものだ。しかし、用語と考え方が普及することで、より明確にフィールド上の状況を意識することが可能になるのだ。それは選手の判断を助け、より良いプレーを生み出す助けになる。