オメガがオカダの長期政権に終止符を打つ
ジェリコ大暴走で内藤からIC王座奪取
時間無制限三本勝負となったIWGPヘビー級選手権試合は、オメガがオカダとの激闘を制した
時間無制限三本勝負となったIWGPヘビー級選手権試合は、オメガがオカダとの激闘を制した【写真:SHUHEI YOKOTA】

 9日の新日本プロレス「DOMINION 6.9 in OSAKA-JO HALL」大阪城ホール大会では、6大タイトルマッチなどが行われ、札止めとなる1万1832人を動員。試合開始前には、6月1日付で新社長となったハロルド・ジョージ・メイ氏が就任のあいさつを行った。リングに上がったメイ社長が「僕はプロレスが大好きです。そして、大好きなプロレス、大好きな新日本プロレスのために、すべてを捧げて頑張ります」と日本語で語りかけると、ファンも拍手喝采で歓迎した。

最初の2本は白星を分け合う激闘に

1本目を奪ったオカダ。最初の試合から30分近い戦いとなった
1本目を奪ったオカダ。最初の試合から30分近い戦いとなった【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ダブルメインイベントIIとなるIWGPヘビー級選手権試合では、ケニー・オメガが“レインメーカー”オカダ・カズチカを破り、悲願の王座戴冠。60分時間切れ引き分けに終わった「1年前の続き」で、約2年間にわたったオカダの長期政権にピリオドを打った。新王者となったオメガは、パートナーの飯伏幸太、そして、絆を取り戻したヤングバックス(マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン)と固い抱擁をかわした。


 両者は昨年1.4東京ドームでIWGP王座を懸けて対戦し、46分45秒、レインメーカーでオカダが勝利。6.11大阪城での再戦は60分時間切れに終わるも、8.12両国国技館での「G1 CLIMAX」公式戦では24分40秒、片翼の天使でオメガが勝利しており、1勝1敗1分の五分となっていた。


 オカダは今年の5.4福岡で、これまで11度連続防衛のタイ記録を保持していた棚橋弘至を破り、新記録となるV12を達成。リング上から次期挑戦者にオメガを指名し、「もう、引き分けとかなしで無制限でやろうぜ」と1年前の決着戦を要求すると、オメガも「三本勝負、どうですか」とさらなる条件を提示し、史上初となる時間無制限三本勝負によるIWGP戦が決定した。


 開始5分、オカダが鉄柵超えのショルダーアタックに失敗し、ヒザとヒジを痛めるアクシデントが発生。これに対し、オメガは15分過ぎに鉄柵超えのスワンダイブ式ダイビングボディープレスを決めると、25分には華麗なノータッチトペも敢行。さらにVトリガー、クロイツ・ラスとたたみかけると、再度のVトリガーから全体重を乗せてフォールに入るが、カウントは2。オカダはレインメーカーを切り返されるも、逆にそのまま押し潰して3カウントを奪い取った。


 すでに1本目で28分47秒も戦った両者だが、わずか2分のインターバルで2本目がスタート。オカダは今年習得した新技・コブラクラッチホールドでスタミナを奪いに行くが、オメガはテーブルを載せた場外フットスタンプ、雪崩式フィッシャーマンズバスター、KAMIKAZE、場外マット上でのリバースフランケンシュタイナーと攻勢をかけると、Vトリガーを随所で繰り出しながら、パワーボム、リバースタイガードライバーも決め、片翼の天使で3カウント。19分10秒、オメガが1−1のタイに持ち込み、勝負は3本目になだれ込んだ。

史上最長となるIWGP戦に

最後は片翼の天使でオカダをし止めたオメガ
最後は片翼の天使でオカダをし止めたオメガ【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ゴングと同時にオメガがVトリガーをたたき込むと、オカダもこの日初となるレインメーカーをヒット。だが、カバーに入るだけの余力はなく、手を載せてフォールするも、カウントは2。すでにトータルで50分を経過し、疲労困憊(こんぱい)の色を隠せない両者だが、ここでオメガがスタイルズクラッシュを炸裂。外国人初の「G1 CLIMAX」初優勝を決めた16年8.14両国大会でも見せた、かつてのBULLET CLUBリーダー・AJスタイルズの必殺技を解禁した。さらには盟友・飯伏の得意技フェニックススプラッシュも放つが、これはかわされて自爆。オカダはドロップキック連発からレインメーカーを繰り出すも、威力がまったく足りずにオメガを倒せず。オカダはなおもレインメーカーでオメガを倒すが、今度はカバーに入れない。


 すでに、トータルで60分を経過。1年前、それどころかこれまでのIWGPヘビー級の歴史を超える未知の領域へと突入する中、なおも両者はジャーマンスープレックスを打ち合うと、オメガがリバースフランケンシュタイナー、片翼の天使、Vトリガーからの片翼の天使でフィニッシュ。16分53秒、トータルでは64分50秒にも及ぶ死闘を制し、第66代王者の栄冠をつかんだ。


 試合後、セコンドの飯伏がオメガに駆け寄ると、花道からIWGPタッグ王者となったヤングバックスも登場。飯伏と共に勝ち名乗りを上げたオメガは、憧れのIWGPヘビーのベルトを手にするよりも先にマットと抱き合うと、ニックも寄り添い、3人で抱擁。そこに飯伏も加わり、4人で一つの輪となった。


 敗れたオカダが両肩を担がれて退場する中、オメガは飯伏の手によって腰にベルトを巻かれ、4人で記念撮影。60分時間切れ引き分けでオカダが防衛に成功した1年前とは異なり、今回はクッキリと明暗が分かれた。

オメガは新日本での進化を誓う

ヤングバックスとも再び共闘を誓い、飯伏を含めた「ゴールデンELITE」として結束を深めることになった
ヤングバックスとも再び共闘を誓い、飯伏を含めた「ゴールデンELITE」として結束を深めることになった【写真:SHUHEI YOKOTA】

 マイクを握ったオメガは、日本語で「もし、このベルトを獲ったら、日本を離れるかもしれないと思っていました。でも、さっきの試合で、プロレスの未来を見て、進化したのを感じた。だから、新日本のリーダーで、新日本のチャンピオンで、次のステップ、前に進みたいと思っています。ヤングバックスがタッグのチャンピオンで、飯伏はイケメンのパートナーで、何でもできそう。だから、一緒に頑張ろう」と呼びかけると、観客も大歓声&拍手で祝福。


 大団円のハッピーエンド……かと思いきや、なぜか、BULLET CLUB分裂のきっかけを作ったCodyが花道からスーツ姿で登場。先ほどまでの空気が一変し、不穏なムードとなる中、Codyは何をするでもなく、そのまま花道を引き揚げてしまったため、飯伏とヤングバックスは、オメガを肩車で担ぎ上げ、改めて新チャンピオン誕生を祝福&お披露目した。


「カナダの路上王」としてDDTプロレスリングに08年7月に初来日を果たして以来、型破りなファイトでプロレスファンの度肝を抜いてきたオメガ。14年に新日本に移籍してからも、16年6.19大阪城ではマイケル・エルガンとのラダーマッチ、今年の1.4東京ドームではクリス・ジェリコとの壮絶マッチなど、これまでの新日本の「ストロングスタイル」「キング・オブ・スポーツ」の枠にとらわれない戦いを繰り広げてきた。


 バックステージではオカダについて「おまえは偉大だ。最高のレスラーだ」と賛辞を送った上で、「おまえは団体を大きくしてきた。でも、まだ国内規模でしかない。これからはオレが新たな物語を、新たな歴史を紡いでいく」と決意表明。さらに「これからも進化し続ける」「ここから一歩先に踏み出して、本当にしっかりとオカダを倒せる最高のレスラーになるために進んでいく」という、力強いコメントが次々と飛び出した。飯伏、ヤングバックスとは「ゴールデンELITE」として結束を深める一方、試合後に姿を現したCodyに対しては「もう君を憎むことには疲れてしまったよ。すべては終わりだ」と、長きにわたる分裂騒動に終止符を打った。


 2年にわたり「V12」という大記録を打ち立てたオカダの王座陥落、そして、第62代王者のAJ以来3年ぶりの外国人王者誕生。飯伏とのゴールデン☆ラヴァーズ復活や日本語解禁で「愛される王者」となったオメガが、日本だけではなく全世界に向けて、新日本マットでどんな新しい時代を築いていくのか。

高木裕美

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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