皐月賞組か、それとも別路線組か データが教えるダービー馬券攻略法

JRA-VANデータラボ

前走青葉賞出走馬の各種データ

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は前走で青葉賞に出走した馬の、前走着順別、ダービー当日の馬体重別の成績をそれぞれ示したもの。青葉賞では2着以内に入っておきたいところで、できれば1着が望ましい。14年にマイネルフロストが青葉賞6着→ダービー3着という例はあるが、同馬は毎日杯を制しており、青葉賞で優先出走権を獲得する必要がなかったため、例外と考えたほうがいいだろう。そして、前走着順以上に明確な傾向が出ているのが当日馬体重。ご覧の通り、青葉賞組の好走馬はすべて当日480キロ以上の馬体重があった。3歳春に短期間で東京芝2400mを2走するのは過酷といわれるが、480キロ以上の立派な馬なら克服できる確率も高くなるようだ。

前走京都新聞杯出走馬の各種データ

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は前走で京都新聞杯に出走した馬の、前走着順別、前走人気別の成績をそれぞれ示したもの。わかりやすいのは前走着順で、京都新聞杯からダービーで好走したのはすべて前走1着となっている。加えて、6番人気以下だった馬の好走例はないため、1〜5番人気で1着が京都新聞杯組の好走条件といえそうだ。

重賞で上がり1位1着した実績の有無

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は「重賞で上がり1位を記録して1着」の実績を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。その差は一目瞭然で、過去10年のうち勝ち馬9頭がこの実績を持っていた。本命候補の馬に関しては、特に重視したいファクターといえる。

芝2000m以上で1着した実績の有無

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表8は「芝2000m以上のレースで1着」の実績を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。絶対条件ではないものの、好走例、好走率ともに明らかに高い数値を残しているのはこの実績を持つ馬のほう。できれば、満たしておきたい条件だ。

結論

 まずチェックしたいのが、表7の項で確認した「重賞で上がり1位を記録して1着」の実績の有無。過去10年で9頭の勝ち馬が該当する重要なデータで、今年はグレイル、ジャンダルム、ステルヴィオ、タイムフライヤー、ダノンプレミアム、ワグネリアンの6頭が該当する。

 前記6頭のうちダノンプレミアム以外の5頭は皐月賞に出走しており、この組で重要なのは皐月賞で1〜5番人気に推されていることだった。これも満たすのはステルヴィオワグネリアンの2頭。前者は芝2000m以上の勝ち鞍がないこと、後者は皐月賞7着がマイナスではあるが、有力視できる存在といえそうだ。また、皐月賞で上がり1位タイのグレイルも一発の可能性はあるだろう。

 一方、皐月賞1着のエポカドーロ、2着のサンリヴァル、3着のジェネラーレウーノは、いずれも「重賞で上がり1位を記録して1着」を持っていない。この3頭とも皐月賞で上がり3位以内に入れなかったことを考えても、ダービーでは勝ちづらいタイプなのかもしれない。もちろん、好走の可能性は十分にあるはずだが、2、3着どまりのケースも想定したほうがいいかもしれない。

 別路線組では、青葉賞を勝ったゴーフォザサミット。青葉賞当時の馬体重が496キロだから、この組の好走条件となる当日480キロ以上も、よほどのことがなければキープできるだろう。一方、京都新聞杯を制したステイフーリッシュは、その前走が7番人気だった点が気がかりである。

 最後に、過去10年では好走歴のない前走からの臨戦ながら、上位人気に推されそうなダノンプレミアムとブラストワンピースにも触れておくべきだろう。ダノンプレミアムは前述の通り、重賞で上がり1位1着の実績を持つ。また、弥生賞1着で芝2000m以上1着も満たしている。万全の状態で出走できるようなら、やはり有力な1頭となりそうだ。ブラストワンピースは芝2000m以上1着の実績は持つが、唯一の重賞出走となった毎日杯が上がり2位1着で、こちらは満たせず。レースぶりから相当な素質を秘めた馬には違いないが、ダービーを勝ち切るとなると、さらなる潜在能力を引き出さなければならないのかもしれない。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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