3歳ダート王への道、鳳雛Sの過去10年 JDD最重要ステップレースとして注目を
過去10年のデータを分析
5月の3歳OP・京都ダート1800mの好走馬
表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
ただ、レース名が頻繁に変わっていても、レースの本質としては一本筋が通ったものが確立されている。それは7月に大井で行われるジャパンダートダービーに向けてのステップレースであることだ。3歳ダート王を目指す過程において重要な役割を担っている。
近年では16年のキョウエイギアや14年カゼノコ、13年はクリソライト、12年はハタノヴァンクールが鳳雛S(昇竜S・端午S)を勝ち、次走ジャパンダートダービーを制した。それ以前でも11年グレープブランデー、09年シルクメビウス、08年サクセスブロッケンが2走後にジャパンダートダービーで連対を果たしている。つまり、5月の3歳OP・京都ダート1800mの優勝馬は、ジャパンダートダービーでもかなり有力となるわけだ。建前としては重賞のユニコーンSがステップレースとして存在するが、それ以上に関連性が高いと言えるかもしれない。
無論、例外となるパターンもある。特に昨年はローズプリンスダムが鳳雛Sを勝ったが、次走ジャパンダートダービーでは8着に敗れた。15年のライドオンウインドも次走同レースで5着に終わった。10年は不思議な年で、5月2日に端午Sが行われ、同月の22日昇竜Sが組まれた。その意図は全く不明だが、出走馬が分散した可能性は否定できない。10年に昇竜Sを勝ったプレファシオはジャパンダートダービーで8着に終わった。
ローズプリンスダムは10番人気での鳳雛S勝利だったように、比較的人気薄で勝った馬はジャパンダートダービーで苦戦している傾向にある。逆に上位人気で勝った馬は、G1(Jpn1)の舞台でも信頼できるような傾向だ。
鳳雛Sに出走するまでのステップとしては、500万クラスの平場戦か、OP特別、芝の重賞・OPのほぼ3パターンに分かれる。オープンクラスでのキャリアや実績はそこまで重要ではなく、500万クラスで強い勝ち方をしていればいきなりここでも勝ち負けになる。OPクラスの経験としては中山の伏竜Sがいい。前走同レース出走馬が目立つ。そこでの着順はあまり関係ないのが特徴。16年マイネルバサラ、10年は上位3頭がすべて、伏竜Sで連対はしていなかった。考えられる理屈としては、パワーを擁する中山ダート1800mと、平坦でスピードが要求される京都ダート1800mとの違いがありそうだ。コース替わりで化けそうな馬を見極めたい。
一変という意味では芝からの転戦馬も注意。15年ライドオンウインド、10年3着ナリタスプリング、09年ジョーメテオなどが該当。芝の重賞やOP特別での着順は、ダート以上に気にする必要がない。
今年の鳳雛Sはどのようなメンバー構成になるか。本稿執筆時点では不明だが、後々のダート路線を占う意味で大いに注目したい。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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