トロロッソ・ホンダはセッティングに苦戦 次戦スペインGPで問われる真価

田口浩次

コーナリング重視が結果につながらず

ハミルトンが今季初優勝を果たしてドライバーズランキングトップに浮上した 【写真:ロイター/アフロ】

 というのも、今回予選で4番手、5番手につけたレッドブルのマシンは、明らかに直線スピードが遅く、ラップタイムをコーナリングで稼いだ。一方、セルジオ・ペレスが3位表彰台を獲得したフォース・インディアや、ルノーのカルロス・サインツは、直線スピードを稼ぐセッティングにしていた。DRSを使っていたとはいえ、レッドブルのマシンやフェラーリのベッテルが簡単にストレートで抜かれたのは、より直線区間での速さを重視したセッティングの賜物(たまもの)だったと言える。

 そしてトロロッソだ。残念ながらレース中の最高速ポイントは、トップがルノーのニコ・ヒュルケンベルグ、2番手がフォース・インディアのペレス、3番手がウイリアムズのランス・ストロールと続き、ガスリーは15番手、ハートレーは9番手だった。一方、直角的コーナー立ち上がりに位置したセクター1とセクター2の計測ポイントでの最高速は、それぞれガスリーが3番手と4番手という好位置につけている。

 だが、タイムには出ないし、結果もついてこなかったことを考慮すると、今回のアゼルバイジャンGPでは、トロロッソはコーナリング区間を重視した、より低速よりなセッティングだった可能性は高い。こうしたコーナリング重視のセッティングは、レッドブルやベッテルのように絶対的にタイムを刻める自信がなければ、直線的な区間でのタイムを狙ったセッティングのチームの方が正解だったと言える。

スペイン、フランス、イギリス、ドイツは好相性

 では、トロロッソが今シーズン実力を発揮できそうな今後のグランプリはどこになるだろう? ここではPUが今後ルノーと同等になったり、フェラーリなどに追い付くといった希望的観測を外し、あくまでも現状のマシンパッケージで向き不向きを考えてみた。

 まず最初に期待できるのは、次戦スペインGPだろう。走行するのは開幕前テストで走り込んだカタルーニャ・サーキット。今年の復活が予定されているポール・リカール・サーキットで開催されるフランスGP。シルバーストーン・サーキットで開催するイギリスGP、そして今年はホッケンハイムリンクで行われるドイツGPあたりが、シーズン前半でトロロッソの好成績を期待したいGPだ。ただし、どのチームも毎戦アップデートが進むのがF1マシンとチーム間の競争。PUのパワー差などを詰めていけなければ、逆にズルズルと成績は落ちていくことも考えられる。

 正直、今回のアゼルバイジャンGPにおけるトロロッソの結果には期待外れと感じたファンも多かったはずだ。ただそれが、単純なセッティングの方向性の失敗だったのか、そもそもピンポイントなセッティングを出すことが難しいマシンなのか、はたまたドラッグが大きく生じる空力特性の影響なのか、それは現時点で判断することは難しい。多くのチームがデータを持つ、次戦スペインGP。ここでトロロッソの真価が見えてくるはずだ。

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