【全日本プロレス】ノア丸藤がCC初出場初優勝の快挙 史上初の三冠王座&GHC同時戴冠へ

高木裕美

CC出場選手による激しい肉弾戦に聖地熱狂

試合後、ゼウスと火野は逆水平チョップでタッチを交わした 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、スペシャル6人タッグマッチとして、秋山準&ジョー・ドーリング&火野裕士組vs.ゼウス&ボディガー&鷹木信悟組が激突。今年のCCを全国各地で盛り上げた6選手が、またしても聖地を熱狂させた。

 参加者全員がチャンピオン経験者というレベルの高さと、他団体の大物選手もそろった豪華な顔ぶれで、例年以上に注目された今年のCC。特に、Aブロックでは鷹木と火野が名勝負を量産。2人とも外敵であり、しかも、ヒール的なポジションでありながら、日増しに声援が高まっていった。

 どんな顔合わせでもハズレなしのこの一戦。共に大阪出身のゼウスと火野がゴリゴリの力比べで意地を見せると、鷹木は自ら秋山との対戦を志願し、エルボー合戦を展開。ゼウス&ボディガーが秋山を合体ショルダーで吹っ飛ばせば、鷹木もセントーン、逆水平チョップ、ダブルチョップ。ドーリングは豪快なドロップキック一発だけで観客の「ジョー」コールを引き出す。火野とゼウスは逆水平チョップ合戦で火がつくと、火野が後ろ手で組んでノーガードでチョップを受け止める。すかさずゼウスもノーガードで受け返し、浪花男同士の意地の張り合いから、ゼウスが火野をミリタリースラムで投げきってみせた。

 15分過ぎ、ドーリングへのトレイン攻撃から鷹木がパンピングボンバー、ボディガーがラリアットを決めるも、カウントは2。逆に今度はボディガーがつかまり、ドーリングのパイルドライバー、デスバレーボム、レボリューションボムに力尽きた。

 目の前に立ちはだかる相手がいれば、とにかく真正面からぶつかっていき、ガンガン意地と技で張り合って、強いヤツが最後に勝つ。今年のCCの戦いを凝縮したような肉弾戦となったが、試合後、ゼウスが改めて火野に逆水平チョップを放つと、火野も打ち返し、最後は2人でチョップ式タッチ。互いを認め、たたえ合い、そして、いつの日かの再戦を誓うアクションに、場内からも大きな歓声と拍手が送られた。

TAJIRI&KAI組が世界タッグ王座挑戦をアピール

TAJIRI&KAI組が現世界タッグ王者組を撃破し、挑戦をアピール 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第4試合では、現世界タッグ王者組である崔領二&ディラン・ジェイムス組が、ノンタイトル戦ながら、TAJIRI&KAI組に痛恨の黒星。TAJIRI&KAIはベルトを腰に巻くポーズで王座挑戦をアピールしてみせた。

 TAJIRI&KAI組は昨年末の「世界最強タッグ決定リーグ戦」にコンビで出場。優勝チームである諏訪魔&石川修司組に公式戦で勝利するなど善戦するも、結果は3勝で予選敗退した。一方、崔&ジェイムスはZERO1マットで絆を結び、3.25さいたまスーパーアリーナ大会で、王座初挑戦にして戴冠を果たしている。

 TAJIRI組は先手必勝とばかりに、ゴングを待たずに奇襲攻撃を仕掛けると、ジェイムスもお返しにTAJIRIにストンピング。崔も得意のキックで追い討ちをかける。だが、5分過ぎ、ジェイムスがTAJIRIにチョークスラムを狙おうとしたところ、TAJIRIが顔面にグリーンミストを噴射し、バズソーキック。助けに入った崔もバズソーキックで場外へ追いやると、KAIがスプラッシュプランチャでジェイムスを圧殺。短期決着で鮮やかな勝利を奪った。

 試合後、TAJIRIとKAIはリング上で背中合わせになり、共に腰へベルトを巻くポーズでアピール。だが、これに怒り狂った崔は、TAJIRIを追いかけていった。

諏訪魔とヨシタツの遺恨が再燃

諏訪魔はヨシタツとの遺恨を再燃させ、ゴング後も締め上げる 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第3試合では、元世界タッグ王者組である諏訪魔&石川修司組が野村直矢&ヨシタツ組と対戦。諏訪魔とヨシタツの遺恨が再燃した。

 諏訪魔&石川組は1.3後楽園で世界タッグ王座を戴冠するも、直後に宮原&ヨシタツ組が挑戦表明。諏訪魔はヨシタツに対し、土下座での直訴を要求するも、ヨシタツはこれを無視し、2.3横浜文化体育館では宮原組が王座を奪った。今年のCC公式戦で両者は4.22名古屋大会で対戦。ヨシタツがヨシタツロックから改名した変形肩固め「ヨシタツ幻想(ファンタジー)」で会心の勝利を奪った。この1敗が響き、決勝進出を逃すことになった諏訪魔は、ゴング前からヨシタツを挑発。これは無視されるも、いざリングに出てきたとみるや、石川がタックル、鉄柱攻撃、ニーリフトで痛めつけたところへ、拷問式の逆エビ固めで捕獲し、さらに串刺しラリアット、フロントスープレックス。

 ヨシタツも10分過ぎ、スワンダイブ式ミサイルキック、トルネードDDTを繰り出すが、諏訪魔もキャプチュードで反撃し、合体技のラストマウンテンの体勢へ。これは野村がカット。ヨシタツはコンプリートショットからヨシタツ幻想でとらえるが、石川がカット。コードブレイカー・フロム・ジェリコも諏訪魔がキャッチして阻止すると、そのまま万力スリーパーで締め上げて勝利。試合終了のゴングが鳴らされ、ヨシタツが必死にタップしても、諏訪魔はなおも締め上げ続け、名古屋の敗戦の鬱憤を晴らした。

青柳が復帰を発表 ユニットに残ることも明言

負傷欠場中の青柳優馬がブルーのスーツ姿で登場し、復帰を宣言した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 青木篤志&佐藤光留&岡田佑介組vs.岩本煌史&中島洋平&丸山敦組による、3対3イリミネーションマッチでは、元タイガースマスクこと丸山が大奮闘。開始早々、中島が佐藤のリバースアームバーで退場となり、岩本と岡田が同体失格となる中、たった1人残された丸山は、青木のフロッグスプラッシュ、佐藤のキックを食らいながらも、まずは佐藤をオーバー・ザ・トップロープで片付けると、青木も丸め込んで3カウントを奪取。この大逆転勝利により、現世界ジュニアヘビー級王者である青木に対し、腰にベルトを巻くポーズで挑戦を訴えると、青木も握手で応じた。

 今年1月より負傷欠場中の青柳優馬がブルーのスーツ姿で登場。6.5ディファ有明大会での復帰を発表した。

 青柳は1.25新木場大会で右脛骨遠位骨折及び右足関節内骨折の重傷を負い、当時、野村と共に保持していたアジアタッグ王座を返上して、治療にあたっていた。

 約4カ月ぶりとなる復帰戦では、宮原&ヨシタツ&野村と組んで、ジェイク・リー&崔&ジェイムス&岩本組と対戦。かつての仲間であり、一足先に5.20後楽園で復帰するジェイクはNEXTREME脱退を発表したが、青柳は「私はNEXTREMEは抜けません」と宣言し、かつての仲間と共闘を続けることを誓った。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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