天皇賞・春の好走条件データを総まとめ 注目すべきは内枠とトニービンの血

JRA-VANデータラボ

大阪杯組・前走着順別成績

表5 ※16年までは産経大阪杯・G2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は大阪杯組の前走着順別成績。ご覧の通り、大阪杯で3着以内に入っていた馬の好走率は非常に高い。G1に昇格した昨年も、キタサンブラックが大阪杯と天皇賞・春を連勝している。ただし、4着以下は数字が大幅にダウンし、天皇賞・春で好走したのは08年に大阪杯6着から2着と巻き返したメイショウサムソンしかいない。そして、同馬は前年の天皇賞・春を勝っており、これは別格と考えていいだろう。

日経賞組・前走着順別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は日経賞組の前走着順別成績。この組もわかりやすい傾向が出ており、好走は1、2着だった馬にほぼ限られる。唯一、14年にフェノーメノが日経賞5着から巻き返して勝っているが、同馬は前年の天皇賞・春を勝っている。3着以下にこのレベルの馬がいなければ、日経賞組は1、2着のみを狙いたい。

阪神大賞典組・前走着順別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は阪神大賞典組の前走着順別成績。阪神大賞典で1着だった馬は本番で複勝率50.0%と2回に1回は好走している。そして、2着以下から好走した3頭(1頭重複のため好走は計4回)には、血統に関する共通点がある。シュヴァルグランとカレンミロティックの父ハーツクライと、ビートブラックの父ミスキャストは、いずれも「父サンデーサイレンス×母父トニービン」の配合を持つ種牡馬ということだ。

3代以内トニービンの有無

 実は阪神大賞典組に限らず、トニービンの血が入る馬は天皇賞・春でしばしば好走している。表8は「血統表の3代以内にトニービンが入る馬、入らない馬」の成績を比較したもの。ご覧の通り、連対率や複勝率は明らかに「入る」のほうが高く、単複の回収率はさらに大きな差がついている。できれば出走馬の血統表まで確認して、トニービンが入っている馬に注意を払いたいところだ。

結論

 今年の天皇賞・春にエントリーがある17頭について、前走別に見ていきたい。大阪杯組は3着以内に入っていればかなり期待できたのだが、今年の3頭はすべて4着以下に敗れている。巻き返しがあるとすれば、すでに天皇賞・春で好走歴があるシュヴァルグランだろう。

 日経賞組は1、2着に入っていることが条件で、1着のガンコと2着のチェスナットコートには資格あり。3着以下にフェノーメノ級の実績を持つ馬は見当たらないので、今回はこの2頭としたい。

 阪神大賞典組は、まずは1着のレインボーライン。2着以下からは、ハーツクライ産駒のサトノクロニクルカレンミロティック、アドマイヤドン産駒のアルバートにはチャンスがある。

 データからピックアップできるのは以上の7頭となる。そして、表2の項目で述べた通り、天皇賞・春は枠順が結果に大きな影響を及ぼすため、これら7頭のなかで内枠を引いた馬を重視したい。また、ハーツクライ産駒のシュヴァルグランやチェスナットコートを含め、トニービンの血を引く馬にもしっかりと注意を払いたいところだ。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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