【ドラディション】バックランド来日で“聖地”熱狂 藤波、長州とレジェンドタッグ結成

高木裕美

藤原vs.越中の職人対決は後味悪い結果に

藤原と越中の職人対決は後味の悪い結末に 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、藤原喜明vs.越中詩郎による、関節vs.尻の“職人”対決が実現するも、不完全燃焼な結末に終わった。

「関節技の鬼」と呼ばわれる68歳の藤原は72年に新日本でデビュー。84年2.3北海道・札幌中島体育センター大会で長州力を襲撃し、一躍「テロリスト」として名を馳せた。その後、UWF移籍や藤原組旗揚げなどをへて、フリーとして活動。07年には胃がんにより胃の半分を切除する手術を受けたが、現在でもリングに上がり続けている。

 一方、59歳の越中は79年に全日本プロレスでデビュー。85年に新日本に移籍し、90年代には反選手会同盟(平成維震軍)を結成して本隊と抗争を繰り広げ、03年に新日本を退団後も様々なリングに上がり続けている。

 藤原は頭突きで額から流血するも、越中が構わずヒップアタック。すると、藤原もお返しの一本足頭突きから、執ようなまでにコブラクローで締め上げる。藤原のワキ固めは越中がロープブレーク。越中はヒップアタックからパワーボムを狙うも不発に終わると、先ほどからコブラクローを制止され続けてきた藤原が、ついにレフェリーに頭突き。すかさず越中もレフェリーにヒップアタックを見舞うと、たまらずレフェリーがゴングを要請。両者が手を出したにも関わらず、裁定は越中のレフェリー暴行による藤原の反則勝ちとなった。

 怒りの越中はゴングに構わずダイビングヒップアタックを狙うが、藤原がかわしてワキ固めで捕獲。職人対決は後味の悪さが残る結果となった。

ザ・コブラが復活 継続参戦に意欲

ザ・コブラ(左)が復活し、勝利を奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第4試合では、かつて新日本やSWSなどで活躍した覆面レスラー、ザ・コブラが復活。ヒロ斉藤と組み、KENSO&ブラック・タイガー組と対戦した。

 ザ・コブラの正体はジョージ高野で、ジョージは77年の新日本2.10東京・日本武道館大会で、同期入門の佐山聡を相手にデビュー。テレビ朝日系特撮ドラマ「プロレスの星 アステカイザー」に主人公のライバル役で出演するなど芸能活動も行い、83年に遠征先のカナダ・カルガリーでマスクマン「ザ・コブラ」に変身した。だが、佐山が変身した初代タイガーマスクの引退により、急きょ、ニューヒーロー誕生の必要性に駆られた新日本の命で緊急帰国。83年11.3東京・蔵前国技館で日本デビュー戦を行い、セコンドが担ぐ神輿に乗って登場すると、トップロープからバック宙して入場してみせるが、肝心の試合でインパクトを残せず。その後もザ・コブラや素顔のジョージ高野としてSWSやPWC、FSRなどをわたり歩くも、実績を築き上げることはできず。ケンドーコバヤシのプレゼンで越中が大ブレークした「アメトーーク」で、くりぃむしちゅー・有田哲平に熱く語られた際も、やはりドカンと弾けることはなかった。

 久々の聖地登場となったコブラは、白いジャケット姿で登場。場内から「コブラ」コールが送られる中、KENSOの足を取り、さらに両手をつかんでサーフボードストレッチ。KENSOの腰ヒモ攻撃でヒロがつかまると、コブラがカットに入るも、KENSOは離さず。それなのにコーナーに戻ってしまうコブラに、場内からはツッコミが入る場面も。それでも、KENSOにニールキック、タイガーにドロップキックを繰り出すと、さらにエプロンからのボディーアタック。KENSOもコブラに急所蹴り、マスクはぎを仕掛けるが、場内大ブーイング。コブラはダブルのラリアットで2人をなぎ倒すと、ヒロがタイガーにセントーン、ダイビングセントーンとたたみかけて勝利をつかんだ。

 ザ・コブラは久々のリングの感触に「尊敬する先輩のリングに上がれてうれしかった。こうしてリングに立たせてもらって感謝している。もっと声援をいただけるよう、成長して良い試合ができるように頑張っていきたい」と決意表明。かつてカナダやメキシコでタッグを組み、新日本ではライバルであったヒロや、師匠・アントニオ猪木にも感謝の気持ちを示しつつ、「私はプロレスしかできないので、今後も戦っていきたい。これから伸びる後輩たちの糧になれれば」と継続参戦に意欲を見せた。

“ドラ息子”LEONAが成長見せる勝利

LEONAは逆さ押さえ込みで勝利を奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

“藤波二世”LEONAは、第2試合で吉田充宏、藤原ライオンとの3WAYマッチに出陣。ヒゲをたくわえ、浅黒く日焼けし、ひと皮むけた成長を見せつけた。

 藤波の長男であるLEONAは、12年4.20後楽園大会のリング上で、父親にプロレス入りを直訴。翌13年11.19後楽園大会で藤波の付き人であった船木誠勝を相手にデビュー。その後、ドラディションだけではなく、WRESTLE-1やプロレスリング・ノアにも定期的に参戦し、キャリアを積んできた。

 かつては、藤波の愛称「ドラゴン」と息子を引っ掛け「ドラ息子」とまで言われたLEONAだが、大学生でデビューした当時のかつての“おぼっちゃま”的な甘さがなくなり、精悍な印象に。試合では3WAYマッチといいながら、実質2対1の状況に追い込まれながらも、吉田にドロップキック、ドラゴンスクリューからの足4の字固めを繰り出すと、吉田の張り手、ヒザ蹴りを食らいながらも、逆さ押さえ込みで3カウントを奪取。レフェリーに抗議する吉田をコーナーから見下ろして勝利をアピールするなど、ふてぶてしさも見せ付けた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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