ブラジルW杯で躍進したコスタリカ ロシアで再現を狙うも、実情は……
“かませ犬”が世紀のサプライズ
コスタリカ代表の浮沈を左右する攻守の要、FWルイス(左)とGKナバス(右) 【Getty Images】
ところが、ふたを開けてみると誰もが予想しない展開を見せる。初戦のウルグアイ戦で1点を先制されながら3点を奪い返して逆転勝利を飾ると、続くイタリア戦では相手のお株を奪うかのような堅守を見せ、1−0で勝利。いち早くグループステージ突破を決めたのである。続くイングランド戦を一部の主力を休ませながらスコアレスドローで乗り切ると、ラウンド16のギリシャ戦は1−1からPK戦で勝利をつかみ、準々決勝に進出する。最後はオランダの前にPK戦で力尽きたが、人口およそ470万人(当時)しかいない中米の小国がこれだけの躍進を見せるとは、コスタリカ国民以外は想像すらしていなかったに違いない。
あれから4年が経過し、コスタリカはロシア大会にも出場する。北中米カリブ海地区最終予選は4勝4分け2敗、メキシコに次ぐ2位で通過しており、もはや同地区では強豪の一角を占めるようになっている。今大会に挑むコスタリカはどんなチームで、前回大会からどのように進化しているのか。果たして本大会では再び旋風を巻き起こせるのだろうか。
堅守速攻の「5−2−3」がスタンダードに
チームを率いるラミレス監督は、元代表10番の威厳をもって選手たちをまとめる 【写真:ロイター/アフロ】
W杯ブラジル大会の時はピント監督と選手たちの確執も伝えられたが、ラミレス監督は同じコスタリカ人であり、選手としても指導者としても十分な実績を残していることもあって、選手との関係はおおむね良好と言える。
指揮官が変われば新たな布陣や戦術を採用しそうなものだが、現在のコスタリカはブラジル大会から引き続き、5−2−3のフォーメーションを採用している。守備時は最終ラインに5人が並んで防波堤を築き、攻撃に転じれば両サイドバック(SB)がやや高い位置を取って3バック気味になるスタイルや、ボールを奪ったら手数をかけずにロングボールを飛ばし、3トップの個人能力に委ねる攻撃も当時と変わらない。どうやら、この戦い方が今のところはコスタリカ代表のスタンダードとして定着しているようだ。