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ブラジルW杯で躍進したコスタリカ
ロシアで再現を狙うも、実情は……

“かませ犬”が世紀のサプライズ

コスタリカ代表の浮沈を左右する攻守の要、FWルイス(左)とGKナバス(右)
コスタリカ代表の浮沈を左右する攻守の要、FWルイス(左)とGKナバス(右)【Getty Images】

 ワールドカップ(W杯)では、毎回さまざまなサプライズが起こる。2014年ブラジル大会における最大のサプライズと言えば、間違いなくコスタリカ代表のベスト8進出だろう。グループDで同居したのは、いずれも優勝経験を持つウルグアイ、イタリア、イングランドの強豪3カ国。「死の組」の中で実力も実績も劣るコスタリカは、各国に勝ち点を献上する“かませ犬”になると予想されていた。


 ところが、ふたを開けてみると誰もが予想しない展開を見せる。初戦のウルグアイ戦で1点を先制されながら3点を奪い返して逆転勝利を飾ると、続くイタリア戦では相手のお株を奪うかのような堅守を見せ、1−0で勝利。いち早くグループステージ突破を決めたのである。続くイングランド戦を一部の主力を休ませながらスコアレスドローで乗り切ると、ラウンド16のギリシャ戦は1−1からPK戦で勝利をつかみ、準々決勝に進出する。最後はオランダの前にPK戦で力尽きたが、人口およそ470万人(当時)しかいない中米の小国がこれだけの躍進を見せるとは、コスタリカ国民以外は想像すらしていなかったに違いない。


 あれから4年が経過し、コスタリカはロシア大会にも出場する。北中米カリブ海地区最終予選は4勝4分け2敗、メキシコに次ぐ2位で通過しており、もはや同地区では強豪の一角を占めるようになっている。今大会に挑むコスタリカはどんなチームで、前回大会からどのように進化しているのか。果たして本大会では再び旋風を巻き起こせるのだろうか。

堅守速攻の「5−2−3」がスタンダードに

チームを率いるラミレス監督は、元代表10番の威厳をもって選手たちをまとめる
チームを率いるラミレス監督は、元代表10番の威厳をもって選手たちをまとめる【写真:ロイター/アフロ】

 まずはチーム内での変化だが、指揮官が変わっている。コロンビア人のホルヘ・ルイス・ピント監督はブラジル大会を最後に退任し、当時ヘッドコーチだった国民的英雄のパウロ・ワンチョペ(元FC東京など)が一時的に暫定監督を務め、15年1月には正式に新監督に就任した。しかし、ワンチョペは同年8月、U−23代表の試合を視察中に乱闘騒ぎを起こし、任期わずか半年あまりでの辞任を余儀なくされる。その直前にヘッドコーチに就任していたオスカル・ラミレスが監督に昇格し、チームは彼の下で北中米カリブ海地区予選を戦い、W杯出場権を獲得したのである。


 W杯ブラジル大会の時はピント監督と選手たちの確執も伝えられたが、ラミレス監督は同じコスタリカ人であり、選手としても指導者としても十分な実績を残していることもあって、選手との関係はおおむね良好と言える。


 指揮官が変われば新たな布陣や戦術を採用しそうなものだが、現在のコスタリカはブラジル大会から引き続き、5−2−3のフォーメーションを採用している。守備時は最終ラインに5人が並んで防波堤を築き、攻撃に転じれば両サイドバック(SB)がやや高い位置を取って3バック気味になるスタイルや、ボールを奪ったら手数をかけずにロングボールを飛ばし、3トップの個人能力に委ねる攻撃も当時と変わらない。どうやら、この戦い方が今のところはコスタリカ代表のスタンダードとして定着しているようだ。

池田敏明
大学院でインカ帝国史を研究していたはずが、「師匠」の敷いたレールに果てしない魅力を感じて業界入り。海外サッカー専門誌の編集を務めた後にフリーとなり、ライター、エディター、スペイン語の翻訳&通訳、フォトグラファー、なぜか動物番組のロケ隊と、フィリップ・コクーばりのマルチぶりを発揮する。ジャングル探検と中南米サッカーをこよなく愛する一方、近年は「育成」にも関心を持ち、試行錯誤の日々を続ける

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