主役を張り続けるメッシとC・ロナウド W杯でも“頂上決戦”は実現するか

この時代に生まれた幸運に感謝を

CL準々決勝のユベントス戦ではブッフォン(左)を相手に歴史に残るスーパーゴールを決めたC・ロナウド 【写真:ロイター/アフロ】

 フットボールの歴史において、これほど突出した選手が同時代に2人も存在することは極めて珍しい例である。同様の例を見いだすには、ヨハン・クライフとフランツ・ベッケンバウアーがアヤックスとバイエルン・ミュンヘンの中心として活躍した1970年代までさかのぼる必要があるだろう。それぞれポジションは違うものの、2人は74年のW杯ドイツ大会の決勝でも対戦している。

 80年代にはディエゴ・マラドーナとミシェル・プラティニがナポリ、ユベントスの中心選手としてイタリアで活躍した時期もあった。マラドーナはアルゼンチンを優勝に導いた86年のW杯メキシコ大会でフットボール史に名を残した。プラティニは82年、86年のW杯で主役の1人となり、84年には自国開催の欧州選手権(ユーロ)でタイトルを手にしている。

 しかし、いずれのケースもメッシとC・ロナウドほど長年にわたって他に圧倒的な差をつけてきたわけではなかった。

 優れたフィニッシャーであるC・ロナウドは、ラ・リーガの得点王争いで驚異の追い上げを見せているだけでなく、CL準々決勝のユベントス戦では他でもないジャンルイジ・ブッフォンを相手に、歴史に残る美しいオーバーヘッドシュートを決めてみせた。

 必要とされるたびにチームを勝利に導いてきたメッシは、先週末のレガネス戦でもハットトリックを記録し、ラ・リーガのタイトル奪還へと着実に近づいている。

 はたして5月のエル・クラシコに続き、6月のW杯ロシア大会でも2人の直接対決は実現するだろうか。もしそうなれば、われわれはあらためてこの時代に生まれた幸運に感謝すべきだろう。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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