LAといえばドジャース? エンゼルス? ロサンゼルスにおける野球ファン事情
カラーが異なる両球団
熱狂的なファンが多いドジャース 【Getty Images】
ドジャースとエンゼルスは、どちらもロサンゼルスを本拠地名に掲げているが、エンゼルスの旧名がアナハイム・エンゼルス(1997〜2004年)、ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイム(05〜15年)だったことから分かるように、スタジアムはアナハイム市にある。ドジャー・スタジアムがあるロサンゼルス市からは南東へ約45キロ離れており、オレンジカウンティに位置している。
ロサンゼルス市があるロサンゼルスカウンティがビジネスの中心街で、古くからの住宅が込み合った街とすれば、オレンジカウンティは新興住宅街が多く、新しく移り住む人が絶えない街。エンゼル・スタジアムからディズニーランドは5キロほどの近さ、スヌーピーとゆかりの深い遊園地・ナッツベリーファームへも16キロほどで、オレンジカウンティはロサンゼルスカウンティに比べて子供のいる家族が好んで住む町として知られている。
のどかな雰囲気が漂うエンゼル・スタジアム 【Getty Images】
ドジャースファンはライバルチームに対する嫌悪感を露わにするため、ドジャー・スタジアムに同じ地区の長年のライバル、ジャイアンツのキャップやTシャツを身に着けて観戦に行こうものなら、あちこちから野次を飛ばされることを覚悟しなければならない。だが、ディズニーランドに来た家族連れが観戦に訪れることも多いエンゼル・スタジアムでは、ドジャースファンほど相手ファンに敵対心を見せることはない。
ドジャースファンは、あと1アウトで勝ちという時に、誰もが立ち上がって口笛を吹いたり、拍手を送ったりする。「エンゼル=天使」をニックネームとするエンゼルスのファンも、あと1アウトで勝ちとなった時に立ち上がって拍手を送るのは同じだが、子供たちが両手を広げて羽を上下に動かすような仕草でエンゼルを真似るという、とても微笑ましいお決まりの身振りがある。
ドジャー・スタジアムの敵チームのクラブハウスは小さく、メディアが10人も入れば窮屈で、あまり選手がリラックスできる雰囲気ではない。しかしエンゼル・スタジアムの敵チームのクラブハウスは、ホームチーム側かと思うほど広く、大きなテレビの前に大きなソファーが用意されていて、昼寝をする選手がいるほど快適だ。
「ロサンゼルス名物」とも言われる渋滞にもまれて職場で戦うロサンゼルス市の住民は勝ち気だ。一方、時間がゆっくり流れ、バケーション地ともなっているアナハイム近辺の住民は柔軟だ。
スポーツ球団である以上、試合に勝ち、頂点を目指している面ではどちらも変わらない。しかし、高速道路で約45分という距離だが、その距離は両球団にこんなにも違う環境を与えている。