自宅より長く過ごすクラブハウス 勝敗にも影響するMLB特有の文化
さまざまなドラマが繰り広げられる場
カブスはチーム全体でテーマを決めて遠征先へ向かうなど独特の取り組みを行っている。写真は2016年にNFLのユニホームで移動するブライアント(右)ら 【Getty Images】
クラブハウスはチーム関係者にとっては自宅よりも長く時間を過ごす場所となる。そんな場だからこそ、野球界の掟として“What happens in the clubhouse, stays in the clubhouse(クラブハウスで起こった出来事は外には出さない)”と定められている。最近ではSNSにより、クラブハウス内の様子がオープンになってきているが、長いシーズンでは表には出ないさまざまなドラマが繰り広げられる場であることは間違いない。
敵地であっても、チームをもてなすクラビーと呼ばれるスタッフが随時サポートをしてくれる。選手・スタッフはこのサポートに対して、連戦最終日にはチップを支払って感謝の意を伝える。選手年俸が公表されているため、このチップの額が少しでも少ないとすぐさまそのうわさが広まってしまう可能性があるので、注意が必要だ。1度日本人のために白いご飯をわざわざ用意してくれたクラビーたちがいたのだが、なんとそのご飯が臭い! ということがあった。とても良くしてくれたので、彼らの名誉のためにもどのチームかは伏せさせていただくが、その好意に対してチップをどれほど払うべきか非常に困った思い出もある。
カブスVはクラブハウスの改修のおかげ?
この空間はチームの士気にも大きく影響する。カブスが長年勝てなかったのは、ホームでも狭いクラブハウスが影響していたのではないかとも言われていた。チームの雰囲気が悪い時、嫌でもお互い顔を合わせないといけないほど狭かったからだ。代打や代走の準備をする場もなかったため、クラブハウス内でネットを設置して試合中に取り組む選手もいた。リラックスの空間と戦いの準備をする空間が一緒ではメリハリを付けにくいこともあったのだろう。実際に影響していたかどうかは分からないが、結果的に改修工事を終えて何倍もの広いクラブハウスとなった2016年にヤギの呪いを解いて108年ぶりの優勝を果たした。
メジャーリーグ独特のクラブハウス文化、そして移動が繰り返されるシーズン。試合開始時間もバラバラで、国内では最大3時間もの時差がある。グラウンド上には現れない部分にも注目してメジャーリーグを見てみると新たな発見があるのではないだろうか。