左腕不足が課題だった広島の救世主へ 先発が期待される高橋昂也の心境は?

週刊ベースボールONLINE

緊張なかったファーム選手権の先発

春季キャンプでは緒方孝市監督から「頑張って目立っていた」と監督賞が贈られた 【写真=BBM】

 見ている側は新戦力の台頭に期待を膨らませるが、当の本人に浮ついた様子はない。一流選手のピッチングを見ながら、自分に足りないものを冷静に分析している。あくまで一歩ずつ、慎重にステップを踏み、1軍生き残りを目指している。

──昨年はルーキーながらファーム日本選手権(10月7日、vs.巨人/宮崎サンマリン)で先発。6回2失点で勝利投手となりました。先発を伝えられたのはいつだったのでしょうか。

 試合の5日前くらいでした。特に緊張はなかったですね。アマチュア時代には緊張したこともありましたが、試合を重ねるうちに慣れてきたのかもしれません。プロでも2軍で投げ始めたころは早く1軍に上がりたいという思いが強く、力が入ってしまうこともあったんですけど。

──その試合で決勝3ランを打ったのが、同期入団の坂倉将吾捕手。坂倉捕手は昨季に1軍デビューを果たしましたが、自分が先に上がりたかったという思いは。

 いや、それはあまりなかったですね。坂倉は別格なので(笑)。

──同じく同期のアドゥワ誠投手、長井良太投手はまだ1軍登板がありません。競争意識は?

 そこもあまり。今は自分のことだけで精いっぱいな感じです。

──アドゥワ投手、長井投手の印象は?

 アドゥワは身長(196センチ)がありますし、自分にないものをたくさん持っているピッチャー。そこはすごいと思います。長井はすごく力のあるボールを投げる。それぞれの武器を持っている感じです。

──その中で高橋投手が勝負するなら、真っすぐの質ですか?

 それも一つですけど、2人とはタイプが違うのであまり比較をせず、自分は一つひとつのボールで勝負していきたいと思っています。

──坂倉捕手とのバッテリーではとても呼吸が合っていますね。

 坂倉が僕のことをよく理解してリードをしてくれているので、飲み込みが早くてすごいと感じますね。投げやすさもあります。簡単に言えば構えからもう投げやすい。実際に結果を出していますし、安心感があるキャッチャーですね。

──2人のバッテリーを早く1軍で見たいファンも多いでしょうが、やはり開幕1軍が目指す舞台ですか。

 そうですね。しっかりいいところを見せて、最後まで1軍に残りたい思いはあります。

変化球の精度と安定感が課題

──開幕先発ローテーションも現実的になっているのでは。

 いえ、そこはまだまだ。1軍にはすごいピッチャーがたくさんいるので、まずは自分がしっかり投げ切ることだと思っています。

──そのための課題は?

 変化球の精度を高めることが必要ですし、もっとピッチングの中で安定感を出したいですね。1日1日、ムラはあるものですが、その状態でも結果を残さないといけません。さらに1軍のレベルでやらないといけないとなると、まだまだ経験が足りないので、そこは頑張っていかないと。

──チームでは野村祐輔投手などが、安定感に優れています。

 ブルペンではポンポンと簡単にストライクを入れているように見えるんですよね。自分もそういう安定感を出さないといけないと思っています。僕は全然、そのレベルにはいけていないので。

──今季の目標は。

 まだ明確なものはありませんが、とにかく1軍で投げないと何も始まらない。まずは1軍でデビューすることを目標にしています。

──今はかなり好位置につけることができているのでは。

 いやー、まったくそうは思いません。自分たち若手はチャンスをもらっても、1回でも失敗したら終わりだと思っているので。それくらいの緊張感を持って、毎試合臨んでいます。

──1軍での活躍を待っている、ファンの方へのメッセージをお願いします。

 プロに入り、多くの方に声をかけてもらっています。応援していただけるだけで本当にありがたいことなので感謝しています。期待に応えられるようなピッチングを見せていけるように頑張ります!

(取材・構成=吉見淳司)

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