3月場所は“戦国十両”が熱い! 最速出世、元大関、貴ノ岩ら役者が集結

荒井太郎

豪風、安美錦……幕内復帰を期すベテラン勢

満身創痍の安美錦だが業師ぶりは健在。今場所はどのような取組を見せてくれるのだろうか 【写真は共同】

 若手の台頭が著しい中、安美錦や豪風といった“レジェンド”も意地を見せたいところ。アキレス腱断裂という力士生命の危機を乗り越えた39歳の安美錦は昨年5月場所、千秋楽の相星決戦まで優勝争いに絡み、9月場所は優勝決定戦にも進出している。先場所負傷したケガの回復具合が気がかりだが、老練な業師ぶりは健在だ。

 平成17年5月場所以来、連続で維持していた幕内の座を明け渡し、去就が注目されていた豪風は自身のブログで「体から血が出るほど散々悩み、たくさん迷い、山ほど考えました。そしてその結果、自分なりに相当な覚悟を持って現役続行を決めました」と今後も土俵に上がり続けることを宣言。昨年は右肘の手術を行い、相撲も精彩を欠き「引退も考えた」という苦悩の時期を経て、幕内復帰に挑む。

 2場所連続全休ながら特別措置で十両の地位にとどまる貴ノ岩、大関経験者の照ノ富士は再起を期すことになる。幕内では優勝争いの経験もある貴ノ岩だが、実戦から約半年も遠ざかり相撲勘をどこまで取り戻せるか。実力者ではあるが、勝ち越しも高いハードルとなりそうだ。天皇賜盃も抱いたことがある照ノ富士は実力的には断トツの存在。体調面もさることながら、自信をどれだけ取り戻せるかが大きなカギとなるだろう。

 生きのいい新鋭や百戦錬磨のベテラン勢、さらには復活を目指す実力者たちがひしめく十両では誰もが優勝するチャンスを有しており、優勝者を予想するのは至難の業だ。また、終盤になれば幕下上位との生き残りを懸けた熾烈な入れ替え戦も展開され、手に汗握る熱戦が続出することは必至。見どころ満載の十両の土俵も幕内同様、興味は尽きることはない。

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著者プロフィール

1967年東京都生まれ。早稲田大学卒業後、百貨店勤務を経てフリーライターに転身。相撲ジャーナリストとして専門誌に寄稿、連載。およびテレビ出演、コメント提供多数。著書に『歴史ポケットスポーツ新聞 相撲』『歴史ポケットスポーツ新聞 プロレス』『東京六大学野球史』『大相撲事件史』『大相撲あるある』など。『大相撲八百長批判を嗤う』では著者の玉木正之氏と対談。雑誌『相撲ファン』で監修を務める。

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