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サファテが語る役割とリーダーシップ
「声を出し、結果を出して、姿勢で示す」

「工藤監督は選手を勇気づけてくれる」

工藤監督からもサファテには全幅の信頼を寄せる
工藤監督からもサファテには全幅の信頼を寄せる【写真は共同】

――米国では多くのチームの監督がいわゆる“オープンドア・ポリシー(監督室にいつ話に行っても構わないというルール)”を掲げているのに比べ、一般的に日本では選手と首脳陣の対話がより難しいと感じませんか?


 日本では監督がチームの絶対的リーダーであり、米国のやり方とはかなり違います。メジャーリーグではベテラン選手がリーダーシップを発揮し、監督はラインアップを組み、効果的に選手起用をするのが主な仕事。日本では監督の権威が大きく、中には自分が格上の存在であるかのように振る舞い、選手から話掛けることもできない監督もいます。監督は選手とコミュニケーションを取り、体調や考えを把握するべきだと思いますが、日本にはそれを好まない監督がいるということです。


――以前、阪神やオリックスでプレーしたライアン・ボーグルソンを取材した時に、「日本では多くの素晴らしい人に会ったが、監督、リーダーの立場にいる人間とまったくコミュニケーションが取れないのが最もつらかった」と話していました。ただ、ホークスの工藤監督はそういうことがないようですね。


 まさにその通りです。工藤さんは「何でも言ってくれ」と伝えてくれます。名選手だった人物は監督には不向きと言いますが、彼はその枠には当てはまりません。監督として、若い投手の力を引き出すうまさには感心させられます。ダッグアウトでは情熱的で、ゲームに集中し、選手を勇気づけてくれます。私には常に敬意を払ってくれて、自由も与えてくれます。春季キャンプにも3月に合流することを許してくれました。就任してから3年で2度も優勝しているのだから、監督としての資質はすでに証明されています。同時に、年を重ねるごとに、より優れた監督になっているとも思います。

「最善の努力をすることを心掛けてきた」

シーズン最多記録となる47セーブを更新し声援に応えるサファテ。最終的には54セーブまで記録を伸ばした
シーズン最多記録となる47セーブを更新し声援に応えるサファテ。最終的には54セーブまで記録を伸ばした【写真は共同】

――あなた自身のキャリアに戻り、ここまでを簡単に総括してください。日本で7年もの長きに渡って成功を手にしてきています。その理由はどこにあると思いますか?


 まず第1に日本での成功を可能にしてくれた神に感謝したいですね。そして、私は常にハードに練習し、“2番手”で終わることを好まず、できる限りのことをやろうと努めてきたことが大きかったのでしょう。最善の努力をすることを心掛けてきました。うまくいかなかったときにはなるべく早く頭を切り替え、次に同じことが起こらないように努める。それは口で言うほど簡単ではなく、悔しさを引きずることで同じ失敗を繰り返してしまうことはよくあることです。そうなると2軍に送られ、戻ってくるのが難しくなります。


――今振り返って、米国から日本に仕事と生活の場を移すにあたり、アジャストが難しかったのはどんな部分でしょう?


 1年目はやはり言葉の壁が大きく、コミュニケーション面で苦労しましたね。生活も大きく変わりました。ただ、それは日本に限らず、外国に行けば誰にも起こることで、予測できたことでもありました。その中でも、やはり日本野球への適応は難しかったですね。1年目に日本スタイルを見て学び、よりハードに練習することで最高のコンディションを作ることができました。適応しきれない選手は結果も出せず、母国に帰り、日本での生活がいかに酷かったかを話したりするのです。実際には日本の文化は素晴らしいし、みんな親切で、食事やベースボールも上質。そんな場所に対して不平を言うのは、大抵は結果が残せなかった選手たちです。成功した上で、日本を悪く言う選手など存在しません。


――現在の日本プロ野球界で、外国人選手は公平に扱われていると感じますか?


 私はそう感じていますよ。中には一生懸命に取り組まず、1年だけプレーしてお金を稼いで帰ろうという態度が見える選手がリスペクトされないケースはあるでしょう。それは当然のことです。ただ、適応しようと試み、ハードワークを忘れず、カルチャーを学ぼうとしている選手は、日本でも敬意を持って扱われます。そういった面で不満を持ったことはないし、今では球界全体に私のことを知ってもらえるようになりました。チームの垣根を超えて、北海道日本ハムの西川(遥輝)選手たちと食事に行ったこともあります。私がこれまでやってきたことが評価されたのでしょう。


――日本のチーム、選手は練習し過ぎだという声についてはどう思いますか?


 練習量については事前に聞かされていたので、驚くことはありませんでした。しかし、他のリリーフ投手に「今日の君はオフだから、もう練習すべきではない」とアドバイスすることもありますよ。日本の選手たちは完璧主義なので、何時間も練習します。練習でつらい思いをして、ゲームはご褒美といったような感じですね。実際には練習は調整、レベルアップのためのものであり、ゲームは能力を発揮する場です。そして、身体を休める時間は必要です。春季キャンプでも私は昼12時までに、すべてのメニューを終えます。キャンプ期間中、1カ月以上もホテルに泊まり込んで7〜8時間も練習することは、私にとっては実用的ではない。時間をかけ過ぎるのではなく、必要な練習を集中してやるべきなんです。


――メジャーリーグほどではないにせよ、プロ野球は試合数が多いので、確かに休みを挟んだ方が効果的なように思えます。


 シーズン中は時には全体の打撃練習を止め、自由参加の練習日を作るべきです。例えば遠征先に移動した日はチーム練習を止めて、必要だと感じた選手だけが早くスタジアムに行ってスイングすべき。去年のホークスはそういうやり方を取り入れ、うまくいきました。柳田(悠岐)、松田(宣浩)、内川(聖一)といった選手は毎日必死に打撃練習をするより、必要に応じて休んだ方がいいんです。

「今の目標は通算250セーブ」

――よく話題になる日本の高校野球のハードスケジュール、特に甲子園での投手の登板過多に関して意見はありますか?


 不合理なことだと思います。毎年、甲子園大会を見て、ほとんど言葉を失います。ドラフトされたときには150キロ台の速球を投げていたのに、のちに140キロしか投げられなくなる投手も見てきました。少年たちの酷使は止めてほしい。米国と日本の高校生を比較すれば、日本の投手は制球力、変化球の質などで遥かに先を行っています。ただ、早い時期から多くの球数を投げ、酷使されては、ポテンシャルが完全には開花しないでしょう。身体ができる前に1試合で130球も140球を投げたら、キャリアが始まる前に終わってしまう。その蓄積がプロ入り後の故障の多さにつながっていることは間違いないでしょう。高校時代の私は1週間に1度の登板のみで、80球以上を投げたことはありませんでした。


――あなたが30代後半まで今のように速い球を投げれているのは、そうやって大事に育てられたからなのかもしれません。すでに日本ではすべてを達成したように見えますが、今後の目標は?


 今の目標は250セーブです。それを達成したら、「もうやり残したことはない」と感じるかもしれません。その一方、300セーブを目標にするかもしれません。19年には届く可能性がありますからね。実は現在、ホークスで私の現役生活を終えられるような新契約の交渉中です。それが実現したら素晴らしいですね。私のキャリアはおそらくあと3、4年ですが、今後しばらく健康を保ち、若手投手を助け、優勝回数を増やすのがモチベーションになるでしょう。


――ホークスとは新契約の交渉中ということですか?


 成立しそうな気配ではあります。ただ、まだ交渉中。このままホークスに残ることができれば素晴らしいですね。


――日本と米国のどちらで現役生活を終えることになるかは分かりませんが、いずれ監督かコーチになることは考えているんでしょうか?


 不思議なことに、その質問はよく受けるんですよ(笑)。引退したら故郷に戻り、しばらく父親、夫としての役割に集中するつもりです。しかし、いずれ日本から監督、あるいはフロントオフィスのアシスタント、米国選手のスカウトといった役割で声を掛けてもらえたら、その時に考えたいですね。監督はストレスのたまる仕事なので、適しているか分かりませんが、いつか新たなチャレンジに挑める日が来たら素晴らしいと思います。ただ、いずれにしても引退後、2、3年が過ぎてからですね。まだまだずっと先の話です。

杉浦大介
杉浦大介

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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