【新日本プロレス】猪木vs.ゴッチから始まった歴史 新日本の「旗揚げ記念日」を振り返る

高木裕美

オカダvs.内藤のIWGP初戦も旗揚げ記念日に

“レインメーカーショック”の直後に内藤とのIWGP戦が行われている 【t.SAKUMA】

 創立40周年の節目となる2012年は3月4日に後楽園で「旗揚げ記念日」として開催され、メインはなんと、オカダvs.内藤哲也のIWGPヘビー級王座戦。2.12大阪で、これまで史上最多の11度の連続防衛に成功していた棚橋を破り、「レインメーカーショック」を引き起こしたオカダと、後輩に先を越され、ジェラシーむき出しの内藤による初のタイトルマッチとなった。このカードが2年後(ダブルメイン)、そして6年後の東京ドームのメインを飾ることになるとは、当時、どれぐらいの人々が予想していただろうか。

 2013年は「旗揚げ記念シリーズ」となり、3月3日、後楽園大会のメインでは、当時のIWGPヘビー級王者であった棚橋と、IWGPジュニア王者であったプリンス・デヴィット(現フィン・ベイラー)がノンタイトル戦で戦い、17分43秒、ハイフライフローで棚橋が勝利。なお、セミでは、中邑vs.ランス・アーチャーによるIWGPインターコンチネンタル(IC)王座戦も行われている。

 2014年からは、旗揚げの聖地である大田区総合体育館に復帰。この年は3月6日に「旗揚げ記念日」として行われ、メインでは、前年と同じ構図である、IWGPヘビー級王者のオカダと、IWGPジュニア王者の飯伏幸太が激突。18分41秒、レインメーカーでオカダが勝利している。なお、この日のセミは棚橋&内藤組vs.中邑&石井組という、今現在の状況では実現不可能な顔合わせというのも、時間の流れを感じさせる。

昨年は天コジが3年4カ月ぶりIWGPタッグ

昨年は天コジが3年4カ月ぶりにIWGPタッグ王座に返り咲いた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 2015年の3月5日の大田区大会はNJC開幕戦としての開催であり、トーナメント1回戦8試合が行われた。メインでは当時は無冠のオカダがバッドラック・ファレに完敗し、大いなる衝撃を与えた。

 2016年の3月3日の大田区もNJC開幕戦として1回戦8試合が行われ、メインでは、ファレが棚橋に勝利し、2年連続の金星獲得を果たしている。なお、同大会では、オカダがCHAOS新メンバーとしてオスプレイの加入を発表。それから2年後に、今度は2人でメインを飾るというのは興味深い出来事だ。

 2017年は3年ぶりに3月6日に「旗揚げ記念日」として開催され、メインでは、現IWGPヘビー級王者であったオカダからの指名により、オカダvs.タイガーマスクWのシングル初対決(ノンタイトル戦)が実現。“中の人”の正体を推測するファンからは「30分時間切れ引き分け」を予想する声も多かったが、結果は27分3秒、レインメーカーでオカダが勝負をつけ、王者の意地を見せた。また、セミファイナルでは、当初、出場予定であった本間朋晃の負傷欠場を受け、急遽タイトルマッチに臨んだ天山広吉&小島聡の天コジが、実に3年4カ月ぶりにIWGPタッグ王座に返り咲き。ファンの感動を誘った。

最近はオカダがメインに連続出場

今回はIWGPヘビーとIWGPジュニアの王座同士によるシングルマッチ。どんな歴史が刻まれるか 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 なお、オカダは12年、14年、16年、17年、18年の3月をIWGPヘビー級王者として迎えていることから、必然的に「旗揚げ記念日」のメインを飾ることが多く、12年はタイトルマッチとして、14年、17年、18年はノンタイトル戦で、それぞれシングル戦を実施(16年はNJC戦)。14年の飯伏戦は、前年の流れを受け、「IWGP王者対決」として会社側に組まれたものであったが、13年8.18DDT両国大会以来の2度目の一騎打ち(オカダが19分51秒、レインメーカーで勝利)にも、終始余裕を崩さず、「勝ったらヘビー級王座にも挑戦したい」という飯伏のアピールを試合前から一蹴すると、決戦当日も、ヘビー級王者としての力の差を見せ付けた。

 また、昨年のタイガーマスクW戦については、オカダ自ら2.5札幌大会のリング上で「1人、闘いたい相手がいます。ボク個人として興味があるのは、タイガーマスクW」とファンと会社に訴えて実現。今年のオスプレイ戦も、2.10大阪大会のリング上で「ヘビー級はNJCに出るでしょ。ヘビー級が出ないということは、久しぶりにヘビー級vs.ジュニアヘビー級のチャンピオン対決をやりたい」と、どちらも“オカダ発信”でカードが即決している。

 なお、内藤も昨年のオカダvs.タイガーマスクW戦の実現後、「自分でテーマを見つける」と、当時保持していたIC王座の挑戦者にタイガーマスクWを指名するも、これはまったく実現せず。「会社はオカダの言うことは聞くのに、オレの言うことは聞かない」という不満とジェラシーをますます増幅させる結果となってしまった。

 今回、4年ぶりのIWGP王者対決実現にあたり、オカダはオスプレイについて「新日本らしい、気持ちのこもった試合ができる選手。弟のようでもあるし、一番認めている、プロレス界一番の選手」とまで絶賛。2015年12月にイギリス遠征をした際に対戦し、その素質に惚れ込んで新日本入りを推薦してCHAOSの一員として招き入れただけに、思い入れもひとしおだ。「旗揚げ戦のアントニオ猪木対カール・ゴッチ。これが、今の時代ではオカダ・カズチカ対ウィル・オスプレイ」と、46年前の歴史に挑む覚悟まで示している。

 なお、46年前は、15分10秒、猪木の卍固めをリバーススープレックスで返したゴッチが、3カウントを奪って勝利するという結末となっているが、果たして、今回も波乱が起こるのか。常に進化・変化し続ける新日本マットに、新たな歴史の1ページが刻まれる大会となりそうだ。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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