完敗を喫した日本男子ジャンプ陣 歴史をつなぐ戦いが再び始まる

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実力通りの結果に終わった団体戦

団体で2回目の飛躍後、日本のメダル獲得はなくなり、遠くを見つめる葛西紀明。8度目の五輪が終わった=平昌 【共同】

“神風”は吹かなかった。平昌五輪スキージャンプ男子の団体戦は19日にアルペンシア・ジャンプセンターで行われ、竹内択(北野建設)、伊東大貴(雪印メグミルク)、葛西紀明、小林陵侑(ともに土屋ホーム)で臨んだ日本は6位に終わり、銅メダルだったソチ五輪に続くメダル獲得を逃した。

 金メダルはノルウェー、銀メダルがドイツ。そして銅メダルのポーランドに日本は131.9点離されており、これは距離に換算すると73メートルほどになる。1本あたり9メートルの差をつけられた計算で完敗と言えるだろう。

 もっとも、個人戦の結果から考えれば妥当な結末だった。団体戦では小林陵が132.5メートル、130メートルとひとり気を吐いたが、竹内、伊東、葛西の2本ずつ計6本はすべて123〜126メートルの間でランディング。2本飛んだ選手を個人戦のようにポイントでランク付けすると、小林陵が13位、葛西19位、伊東23位、竹内24位だった。

 個人戦2試合を振り返っても、小林陵を除けば各選手とも20位台、30位台の成績だった。前日の練習では「(メダルへは)どこかのチームが1人、2人失敗したときに、われわれ4人全員がジャンプをそろえられれば」(斉藤智治監督)としていたが、実際には上位勢も日本勢も良くも悪くもなく、今の実力通りの結果が出た団体戦だったと言えるだろう。

 今季のワールドカップ(W杯)ランキングを見ると日本勢の最高位は小林潤志郎(雪印メグミルク)の8位で、次点が葛西の27位。五輪が始まる前から陣営は今回の厳しい結果を心のどこかで覚悟していたようにも思う。競技に不確定要素をもたらす強風は、大会前半あれだけ吹いていたにもかかわらず、この日はピタッと収まっていた。

世界との差は「正直分からない」

「またイチからですね」と再出発を誓った竹内拓 【写真:長田洋平/アフロスポーツ】

 試合が残されているうちは「風が、テイクオフが合わなかった。修正していく」と語っていた選手たちも、すべての戦いを終えて力の差を認めるしかなかった。

 1番手として団体戦に臨んだ竹内は「自分の持っている引き出しを一個一個空けて試してみたけど、全然距離が変わってこない。W杯から表彰台常連の選手になっていないと厳しい。10メートル伸ばさないと世界では戦えない」と嘆く。

「諦めているわけではないんですが、いけるかもしれないっていう部分が少しもないっていうか。お尻の位置とか、膝の使い方とか、差は小さいところだと思う。そこが(積み重なって)10メートル、15メートルの差になってくる。いろいろな視点から見詰め直して、またイチからですね」(竹内)

 今季W杯の個人開幕戦で転倒し「五輪でなければまだ飛んでいない」状態ながら経験を買われ団体メンバー入りした伊東は、世界との差を問われると「よく皆さんに聞かれるんですけど、正直ちょっと分からなくて」と率直な思いを口にする。

「僕個人的には精神面や体の作り方など、いろいろと限界に近付いているのかなと思います。ただ試合に向けての過ごし方とか、そういったところは日本チームとして足りなかった部分がたくさんある。その反省点を今後の若い選手が繰り返さないよう伝えていければいい」(伊東)

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