“氷と対話する”感覚が優れる小平の滑り 長野五輪金メダリスト清水宏保氏が解説

構成:スポーツナビ

インスタートには心の強さが必要だった

インスタートでも力が発揮できるのは、実力と心の強さを持っているから 【写真:ロイター/アフロ】

――今大会は500メートルでも1本勝負となり、インコース、アウトコースの有利不利というのも話題になりましたが、実際のところ影響はあるのでしょうか?

 精神的に楽なのはアウトスタートです。それは相手の選手を見ながら滑ることができるからです。小平選手の1組後のイ・サンファ選手は、郷亜里砂選手をしっかり前に据えて、目標にして追いかけながら滑れていました。それは空気抵抗の軽減にもなりますし、相手を利用しながら滑るのは何よりも気持ちが楽に滑れます。ですので、絶対にアウトの方が勝負という意味では楽にできます。

 ただ、タイムを狙うとなるとインスタートかと思います。それは最終カーブをアウトコースで回れる分、スピードが出せますので。しかしそれは実力がなければできません。大舞台でそれができるのは、心の強さと実力がないとできません。

――そういう意味でも小平選手は実力やスピードを持ち、心の強さも持っていたから速いタイムが出せたと。

 そうですね。W杯の連勝もあり、心の強さを持って大会に臨めていた結果だと思います。

加藤、長谷川にも期待 あと2つはメダルを取れる

女子の活躍に、加藤条治(写真)ら男子陣も刺激を受けているはずだ 【写真は共同】

――日本スケート陣としてはこれで4つ目のメダルとなりました。ここまでのチームとしての戦いについては?

 高木美帆選手の銀メダル(女子1500メートル)から始まりましたが、それがすごく勢いづけていると思います。それとフィギュアスケートの羽生選手の金メダルは、小平選手の気持ちを楽にしたのではないでしょうか。やはり金メダルが出ることで、選手村全体の解放感もありますし、日本チームの雰囲気が良くなっていると思います。また小平選手、高木選手が力を出せていることによって、ほかの選手へも良い刺激になっていると思います。

――男子陣としてはどうですか?

 男子も女子選手が頑張っている分、「負けていられない」という部分はあると思います。ですので、この後の男子500メートルは相当、闘争心が高まっているのではないでしょうか。

――今後、期待している種目は?

 やはり男子500メートルの加藤条治選手と長谷川翼選手ですね。絶対に小平選手のメダルで刺激を受けていると思うので、「絶対に俺もメダルを」と考えているはずです。

――やはりそういう意味でも小平選手の金メダルは良い刺激になりました。

 間違いないですね。あと2つぐらいは(日本スケート陣が)メダルを取れるんじゃないかと思います。

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