バルセロナの背中を追うアトレティコ ラ・リーガの優勝争いはまだ終わらない!?

バルサは新戦力がいまだフィットせず

期待の新戦力であるコウチーニョ(左)とデンベレはまだフィットしているとは言いがたい 【写真:ロイター/アフロ】

 両チームの今後の対戦カードを比較すれば、バルセロナにはアトレティコ・マドリーに加えてアスレティック・ビルバオ、バレンシア、レアル・マドリー、レアル・ソシエダら難敵との対戦をカンプノウで戦える利点がある。とはいえ、降格圏に沈んでいる3チーム(ラスパルマス、デポルティーボ、マラガ)、そしてヨーロッパリーグ出場圏内の6位セビージャと勝ち点1差につけている好調エイバルとのアウェー戦は苦戦を強いられるはずだ。

 対照的に、アトレティコ・マドリーにはバルセロナ、レアル・マドリー、セビージャ、レアル・ソシエダら強豪とのアウェー戦が残っている。降格圏のチームではワンダ・メトロポリターノ(アトレティコ・マドリーのホームスタジアム)でのデポルティーボ戦もある。

 フットボールにおいては数字やデータだけでなく、プレーレベルも今後を占う重要な要素となる。その点、ここ数試合のバルセロナは特に攻撃面でパフォーマンスが下降気味だ。先週末のヘタフェ戦では2人の新戦力、フィリペ・コウチーニョとウスマン・デンベレが、いまだチームにフィットしていないことも見て取れた。

アトレティコのプレー内容には不安材料なし!?

プレー内容に不安はないと思われるアトレティコ。シメオネには揺るぎない戦術的基盤がある 【写真:ロイター/アフロ】

 ここまで文句なしの結果を出しているものの、エルネスト・バルベルデ監督はネイマールを失った影響をまだ拭い取ることができていない。3トップを形成する第3のアタッカーは不在のまま、攻撃の組み立てを担うリオネル・メッシは中盤に降りることが多いため、ルイス・スアレスが前線で孤立する状況が頻繁に見られるからだ。

 一方、アトレティコ・マドリーのプレー内容に不安材料はない。4−4−2のシステムと堅固な守備ブロック、そして攻撃の核となるジエゴ・コスタとアントワーヌ・グリーズマン。けが人の多い最終ラインが安定感に欠ける部分はあるものの、シメオネには揺るぎない戦術的基盤がある。

 はたして残り15節での勝ち点7差は逆転可能な範囲なのか。断言はできないが、両チームの現状、そしてこれからバルセロナがCLでチェルシーとの大一番を迎えることを考えれば、まだ優勝の可能性は開かれていると言えるのではないか。少なくともアトレティコ・マドリーは、完全に可能性が断たれるまで戦いを止めることはないはずだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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