反町監督が松本で“長期政権”を築く理由 7年目のシーズンは原点回帰の年に
反町監督は在籍7年目のチームに何を期待し、何をもたらすのだろうか。本音を聞いた 【(C)J.LEAGUE】
しかし「去年の途中から神田(文之)社長と、何度もクラブの問題点やビジョンを話し合った結果、最終的に続ける決断を下した」と本人が言うように、反町監督は松本で7年目のシーズンを戦う覚悟を決めた。01年にアルビレックス新潟で監督キャリアをスタートさせた時から「監督の仕事は3年が一区切り。長すぎるのはよくない」と言い続けてきた彼にとっては、異例の長期政権となる。
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果たして反町監督は7年目のチームに何を期待し、何をもたらすのか。プレミアリーグで22年間、アーセナルを率いているアーセン・ベンゲルのような存在になるつもりはあるのか。本音を聞いた。(取材日:1月27日)
「辞めるべきではないか」と考えたこともあった
「辞めるべきではないか」と考えたこともあったという反町監督。続投に傾いた最大の要因はサポーターにあったと話す 【(C)J.LEAGUE】
長く続けることには、メリットと弊害の両方がある。前者で言えば、クラブの事情や残っている選手の力量をすでに把握していること。それを生かして新しい選手との融合を図っていけるのは、チーム作りを進めるうえで大きなアドバンテージですね。逆に自分自身の考え方が凝り固まったり、選手を見る目が変わらないかもしれないという弊害もあります。
松本の場合、J2に上がってからずっと自分がやっているから「監督=反町」みたいになってしまっている(苦笑)。それも果たしていいのかどうか、分からないところはありますよね。去年は成績も残せませんでしたし、「自分は辞めるべきなんじゃないか」と考えたことも当然ありました。他からのお誘いがないわけでもないし、同じチームに居続けることで、自分のスキルアップになるのかどうかも、正直考えました。
ただ、このクラブには独特の優しさがあるし、サポーターも常に心を込めて応援してくれる。どんな時もネガティブなことを言わず「一緒に頑張ろう」と言ってくれる。家族は一番苦しい時に助け合うものだけれど、松本の人たちは本当にそういう存在です。そういう意味では不思議なクラブだと思いますし、そこで仕事ができることは監督冥利(みょうり)に尽きる。ありがたく感じています。
――それが続投に傾いた最大の要因ですか?
そうですね。加えて、この半年間で神田社長とクラブの問題点は何なのか、どう変えていくべきかという話を繰り返し議論したことも大きかったですね。これまでの松本は、選手補強に関して監督の意見が通りにくいところが少なからずあった。今までは「まあ、俺が何とかするから」と言っていたけれど、そのままの体制でやり続けるのはちょっと苦しい。クラブに携わる全員がプロフェッショナルの意識を持ち、全力を尽くす集団に変わらなければいけないという自分の思いを率直に伝えたんです。
その結果、今季から柴田峡さんを編成部長に据えた新体制で動き出すことになりました。彼は15年まで自分の下でトップチームのコーチを務めていて、松本の事情を誰よりもよく理解している人物。どういう補強が必要かをじっくり話し合い、リクエストを出し、動いてもらったところ、自分の思い描いた編成にかなり近いものになった。今年はそれをどうマネジメントしていくかが大事になってくる。自分の力量がより問われるシーズンになると、強く自覚しています。