【全日本プロレス】ドーリングが三冠V3 宮原が挑戦へ 勢い増す全日本 丸藤、藤田らも参戦

高木裕美

勢い増す全日本 ノア丸藤、野獣藤田らの参戦も

勢い増す全日本プロレス。この日、動画見放題のサイト「全日本プロレスTV」のスタートも発表された 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 3日の全日本プロレス「2018 YOKOHAMA TWILIGHT BLUES SPECIAL」神奈川・横浜文化体育館大会では、4大タイトルマッチなどが行われた。

 一昨年ごろから、全日本に対する評価は日に日に上がってきており、観客動員数も上昇。その勢いに乗ってか、この日、動画見放題のサイト「全日本プロレスTV」(月額900円)がスタートすることも発表された(詳細は後日)。

 この日も、4月7日に宮城・仙台サンプラザホールで開幕する「2018 チャンピオン・カーニバル」にプロレスリング・ノアの丸藤正道の参戦が発表されたり、“野獣”藤田和之が乱入して犬猿の仲である諏訪魔に襲い掛かるなど、「タブーなき戦略」で、注目度がさらに上昇中。ただ単に刺激的な顔ぶれを求めるだけではなく、実力者たちも続々集結しており、ますます熱は高まっていきそうだ。

 同じ創立45周年のライバル団体・新日本プロレスが、今が旬の若手タレントをそろえ、ゴールデンタイムで高視聴率を獲得する在京キー局の看板番組だとすれば、全日本は味のある個性派キャストと企画力で、深夜帯ながら口コミでじわじわとマニアを増やしていくテレビ東京のドラマ枠のようなものであろうか。「勇者ヨシヒコ」「孤独のグルメ」シリーズや「バイプレイヤーズ」など、派手さはなくてもついつい釘付けになってしまう味わいと、放送コードギリギリのところを果敢に攻めていく貪欲さは、かなり中毒性がある。幅広い選手層と、因縁渦巻く人間関係をもすべて飲み込んでしまう大胆さは、まさに今の秋山全日本ならではだ。

ドーリングがKAIを圧倒 宮原が挑戦直訴

V3を達成したドーリングに宮原が挑戦を名乗り 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、王者ジョー・ドーリングがKAIを下し3度目の防衛に成功。次期挑戦者には元王者の宮原健斗が名乗りを上げた。

 両者は約10年前の若手時代、横浜の全日本道場で同じ釜の飯を食った間柄。KAIの同期には真田聖也(SANADA)、T28(BUSHI)、大和ヒロシがいる。SANADAもこの1週間後となる2.10新日本プロレス・大阪大会で“レインメーカー”オカダ・カズチカのIWGPヘビー級王座への挑戦が決定していることから、ダブル戴冠となるか注目されていた。

 KAIは開始早々、トペスイシーダを繰り出すなど闘志を見せ付けると、10分過ぎにはパワーボムから怒涛のスプラッシュプランチャ3連発。さらには新必殺技のメテオインパクトも決まるが、試合前半で受けた腰のダメージからカバーに入れず。ドーリングはパイルドライバーで脳天から突き刺すと、さらにラリアット、ボディーアタックからのレボリューションボムで勝負を決めた。

 約15分間の完勝劇に観客も圧倒される中、宮原が花道から現れ、「横浜の皆さん、ジョー・ドーリングvs.宮原健斗の三冠戦、見たくないですか」と呼びかけると、ドーリングに挑戦を直訴。ドーリングも「OK」と即答し、握手をかわした。

 16年春に悪性脳腫瘍が見つかってから、わずか2年足らずで頂点に上り詰めたドーリング。病と闘ったことで、本当の強さを身につけた男に対し、「全日本プロレスを高みに持っていくという、プロレスの神様から言われた宿命」を背負った宮原が、“最高”の戦いで、再び王座返り咲きを果たすことができるか。

“ヨシケン”が諏訪魔&石川組にリベンジで王座初戴冠

シャットダウン式スープレックスで諏訪魔をし止めた宮原。ヨシタツとのタッグで世界タッグ初戴冠となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルの世界タッグ選手権試合では、宮原健斗&ヨシタツ組が昨年の「世界最強タッグ決定リーグ戦」優勝チームであった王者組の諏訪魔、石川修司組を破り初戴冠。試合後、藤田和之が乱入し、諏訪魔を襲撃したことで、両者の因縁は新たな局面に突入した。

 諏訪魔組と宮原組は昨年12.12後楽園ホールで行われた最強タッグ公式戦で対戦し、諏訪魔組が勝利。その後、リーグ戦も制し、世界タッグ王座も獲得した暴走大巨人に、“ヨシケン”が名乗りを上げた。

 諏訪魔はテーブルでヨシタツの顔面を打ちつけるラフプレーを見せると、合体ショルダーなどの好連係も披露。だが、13分過ぎに狙った同時パワーボムは同時にリバースされ不発。宮原はブラックアウト、デッドエンドを繰り出すと、諏訪魔もジャンピングパワーボム、バックドロップで反撃に出るが、ラストライドを切り返した宮原が後頭部へブラックアウトを発射。ヨシタツも石川をバックドロップで投げ、チームを分断。このスキに宮原がブラックアウト2連発からのシャットダウン式スープレックスで諏訪魔から3カウントを奪い取った。

 試合後、早くもゼウス&ボディガーの“ザ・ビッグガンズ”が現れ、2人のおひざ元である2.25大阪での挑戦を表明。「大阪でオレたちが勝って、ちゃんとしたマッチョポーズを見せる」と意気込むボディガーに対し、ヨシタツもタイトル戦を受諾。日本全国をハッピーにするべく、リング上で観客の声援に応えた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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