【KNOCK OUT】選手たちの“覚悟”が熱狂を作る 小野寺Pが激闘の1年を振り返る

長谷川亮

新トーナメントも「ただでは済まない」戦いに

18年はスーパーライト級トーナメントともう1つのトーナメントを軸に展開していく予定だ 【スポーツナビ】

――今年も開幕となる2月大会が迫ってきましたが、昨年同様開催されるトーナメントが年間を通しての軸となっていくのでしょうか?

 そうですね、昨年ライト級トーナメントをやって手応えをつかんだ感じはありますし、基本トーナメントはずっとやっていきたいと思います。今年はまだ階級は言えないのですが、もう一階級でトーナメントをやります。こちらは8人中6人が内定していて、なかなかこれも面白くなると思います。こちらは早ければ6月から行きたいと思っています。

 ですので今年はスーパーライトともう1階級のトーナメントを一緒に進めながら、女子や他の注目選手だったり、トーナメントで敗れた選手たち、次の挑戦者を決めていく戦いをどんどん組んでいきます。

 今回2月に重森陽太選手と宮越慶二郎選手の試合を組みましたが、宮越選手はトーナメント1回戦で負けてしまったものの実力は日本一と言われている選手で、その宮越選手とトーナメントに参戦していなくて新たなスター候補である重森選手がやり、この先どういう風になっていくか。2月は望んでいた大月(晴明)戦をクリアした町田選手もいて森井戦に辿り着きたいでしょうし、そんな彼と戦う高橋兄弟のお兄ちゃん(高橋一眞)も本当にキャラクターがあって面白い、イケイケの試合をします。トーナメント準優勝の勝次も復活が待たれますし、そういった森井選手への挑戦者を決める試合だけでも十分ドラマが作れるんですよね。そういった感じで、これをどんどん階級を分けて進めながら、優勝する人、敗れたけどまた這い上がっていく人という図式を作れればと思っています。

――先日対戦カードが発表になったスーパーライト級トーナメントの見どころをお聞かせください。

 これは会見でも言いましたが、ただでは済まないトーナメントになると思います。去年やってみて、優勝候補だからといって勝ち上がれる訳ではないのがトーナメントで、やっぱり波乱が起きるんじゃないかと。ダークホース的な選手が行く可能性もありますし、新たなスターがこのトーナメントから生まれると思います。

 実力で言うと、今は水落洋祐選手がノリに乗っていますね。不可思選手も実力とは別のところで運と色気があっていいと思います。そして初参戦する秀樹選手も、日本ではなく海外でやっているK−1グローバルの現役チャンピオンで、1発のパワーで言ったら8選手の中で1番強いと思います。蹴りの強さ、左のパンチの強さというのはスゴいので、それが入ったらどの選手でも分かりません。

 あとは山口お兄ちゃん、裕人選手のイケイケなキャラクターと試合ぶりも面白いです。怪物くん(=鈴木博昭)も10月に初参戦して負けたので、自分の負けを取り返すのとシュートボクシングの世界チャンピオンとしての自負で、このトーナメントで優勝という気持ちは絶対に持っているでしょう。初参戦の大石(駿介)選手も、天心と(小笠原)瑛作選手が持っているISKAという団体の世界タイトルを昨年獲っていて激闘タイプです。

 健太選手に関して言えば、昔70キロで佐藤嘉洋選手に勝っていて、そんな選手が64キロまで落とすというのは、これはもうさっきも言った覚悟ですよね。でも、みんなそうやって覚悟を持ってこのトーナメントへ参戦してくれているし、実力もそこまで差はないはずです。だからただでは済まないトーナメントになると思います。

天心は18年1発目から最強の刺客と激突

17年末の試合でも圧倒的な強さを見せた天心。18年初戦は過去最強のムエタイ選手と激突する 【写真:中原義史】

――期待の大きいスーパーライト級トーナメントに加え、天心選手も強敵(スアキム・シットソートーテーウ)との対戦が発表となりました。

 これは強いですよ。今はプロムエタイ協会というところのスーパーバンタム級、天心と同じ階級のチャンピオンなのですが、タイではギャンブルでみんな賭けているので、同じレベルの選手同士を戦わせてどっちが勝つか分からないという試合をさせるのですが、スアキムは強すぎるので同じ階級では試合が組まれないんです。

 ですので1階級上、2階級上の選手たちと試合を組まれて、それでも勝ち抜いています。先日はタイで権威のあるルンピニースタジアムの2階級上、スーパーフェザー級のチャンピオンをKOしました。やはりタイとしてはムエタイの威信もありますし、スアキムはワンチャローンと同じジムなんです。なので同門の仕返しというか、かたき討ちですよね。スアキムは身長が高く、天心もなかなかやったことがない身長差だと思います。

 あとパンチの打ち方がボクシング的な綺麗な打ち方ではないので、逆に天心は読みづらいんじゃないかと思います。背が高いので離れても蹴ってきますし、グイグイ前へ来てパンチを出してヒジも振り回してきて攻撃的な選手です。

――では、旗揚げ大会でのワンチャローン戦以来で再び天心選手に危機が訪れると。

“天心ピンチ”というのは言っていいと思います。ただワンチャローンの時もそうでしたが、終わってみればそれを何でもなく倒してしまい、“那須川天心スゴいな”ということも当然考えられます。ただ、その天心が最低でも苦戦するのではないか、やられるのではないかという相手、本物中の本物を今回は用意しました。

――それでは最後に改めて、KNOCK OUT今年の展望と意気込みをお願いします。

 昨年は本当にたくさんのお客さんに来て頂いて、選手たちも素晴らしい試合をしてくれましたが、2年目の今年が本当に勝負だと思っています。ですので昨年以上に妥協せず、本気で進めて、来年、再来年と進めていきたいと思っています。2年目の今年こそが本当の勝負です。ちょっとずつかもしれないですけど一般の方にも広めていって、ブームとなるようにしたいし、それも一時のブームではなく、本道・王道を突き進んでいきます。

 12月にはまた大きな会場で調整していますし、今年は地方大会も開催しようと思っています。地方の選手を起用しつつも東京のカードをそのまま持っていって、妥協のないマッチメイクをしたいと考えています。

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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