18年はスペインサッカー界の鍵を握る年に 真価問われる代表、課題が山積みのリーガ

リーガが抱えるさまざまな課題

2大クラブとその他のクラブにある格差など、リーガが抱える課題は山積みだ 【写真:なかしまだいすけ/アフロ】

 しかし、RFEFにとって最大の問題は、これから生じることになる。ビジャールはFIFA(国際連盟)のジャンニ・インファンティーノ会長をはじめとした各国のフットボール界の重鎮とつながっているからだ。すでにFIFAはRFEFに対し、ビジャールの解任に際してFIFAの規約13条で禁じられている政府の干渉が認められた際には、スペイン代表のW杯出場権を剥奪する可能性があると警告している。

 当のビジャールも、過去30年近くにわたって、ほとんど取材を受けたことがなかったメディアを集めて会見を開き、W杯出場権剥奪の危険性が「極めて深刻」であることを認めていた。とはいえ、それは各方面の利権が関わる問題なだけに、FIFAも簡単に決断できることではないだろう。

 スペインフットボール界には再考すべき問題が他にも山ほどある。

 バルセロナ、レアル・マドリーの2大クラブとその他クラブの間にある、大きすぎるテレビ放映権収入の分配率の格差はその1つだ。銀行や税務署が経営難のクラブに対して行ってきた負債の返済条件の優遇もそう。地方自治体が実際の価値より高額に土地を再評価し、資金繰りに困ったクラブから買い取ってきた救済措置もそうだ。他国のリーグではすでに解決されているたぐいの誤審を避けるべく、ビデオ・アシスタント・レフェリーやゴールラインテクノロジーの導入も、真剣かつ早急に検討しなければならない。

 これらの課題も含め、18年はスペインフットボール界がこのまま牛の立場であり続けるのか、それとも闘牛士の側に回るのかを左右するターニングポイントとなるはずだ。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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