プロボクサー・井上尚弥のスタイル 練習から全力で「全てを楽しむ」
「練習でやっていないことは、試合では絶対に出ない」
「練習でやっていないことは、試合では絶対に出ない」――。プロボクサー・井上尚弥は、練習から全力だ 【スポーツナビ】
「僕はスパーリングでも常に試合と同じ気持ち。いつも相手を倒す気持ちでやっています」
あくまで本番へ向けた調整の場だ。ケガにも細心の注意を払うスパーリングでは、試合よりも相手へのダメージを和らげる大きなグローブを着け、頭部を守るヘッドギアを被る。「まあスパーリングで相手を倒す、と思っている人はそんなにいないでしょうね」とも話す。そこを、本番さながらのKOスタイルで臨むところが、まず異質だろう。
「練習でやっていないことは、試合では絶対に出ませんから」
常にフルスロットルのスパーリングは、関係者の間で数々の武勇伝を生んでいる。2階級、3階級上の選手を倒すのは当たり前。4階級上のスーパーフェザー級の選手の肘を、パンチで折ってしまったこともある。ある意味では、理想のパフォーマンスは、練習の中でしかまだ発揮できていないのかもしれない。
ボクシングのすべてを楽しんでいる
ただ倒すことを求めるのではなく、当然技術的な試行錯誤も重ねている。「変化は日々ありますよ。日々練習で考えて、できないことをできるようにすることを積み重ねていくしかないです。刺激がないとマンネリになりますし。スパーリングがないと、毎日同じ練習になって考えなくなってくる。若い、知らない対戦相手とスパーリングすると自分も考えますし。何か刺激は与え続けないといけないと思いますね」
練習から全力で課題と向き合うから、不安のないまま本番のリングに立てる。「それなりの練習をしているから、楽しむという気持ちでリングに上がることができる。自分が好きでやっているボクシング。練習から試合の期間まで、そして試合当日も。すべて楽しんでいるし、好きだからそれができるんだと思います」
威風堂々たる王者のたたずまい。誰よりもボクシングが好きで、誰よりも真剣に練習に取り組んでいるからこそ、臆することなくチャンピオンロードのど真ん中を歩いてきた。
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