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寺田明日香が担う“転向組”の使命
7人制ラグビーで「東京五輪のメダルを」
陸上女子ハードルから7人制ラグビーへと転向した寺田明日香にインタビュー
陸上女子ハードルから7人制ラグビーへと転向した寺田明日香にインタビュー【スポーツナビ】

 陸上女子100メートルハードルで、2008年から10年までの3年間、日本選手権を制し“女王”に君臨していた寺田明日香。日本代表として08年世界ジュニア選手権(ポーランド・ビドコシチ)、09年世界選手権(ドイツ・ベルリン)、同年のアジア選手権(中国・広州 銀メダル)、10年アジア大会(中国・広州)にも出場。U20日本記録も樹立し、名実共に日本のトップ選手として活躍していた。


 しかしそれ以後はケガなどにも悩まされ不振が続き、目標としていた12年ロンドン五輪の出場を逃し、翌13年には陸上競技からの引退を発表した。引退後には、インターンシップを経験し、早稲田大学にも入学。また結婚・出産で家族を持ち、競技とは違う幸せを得た。


 ただ彼女の中のアスリート魂、そして周囲の支えもあり、16年には7人制ラグビーの選手として、再び競技生活に身を置くことになった。陸上競技では果たせなかった「五輪出場」という夢に向かい、今、新たな道を歩んでいる。


 今回は女子7人制日本代表の育成・強化メンバーにも入った寺田に、他競技への転向について思うことや今後の夢について語ってもらった。

相手とのコンタクトがあることが最大の違い

昨年7人制ラグビーに転向。足のケガもあったが、現在は復帰し再びラグビーで戦うための体作りをしている
昨年7人制ラグビーに転向。足のケガもあったが、現在は復帰し再びラグビーで戦うための体作りをしている【写真提供:寺田明日香オフィシャルサイト】

――足のケガから復帰したばかりとのことですが、現在のコンディションは?


 入院期間を含めてケガをした後、せっかく作っていた筋肉や体重が落ちてしまったので、(11月12日に「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2017」の)シリーズ最終戦があったのですが、その前に8割程度しか戻っておらず、出場を見送りました。もう一度体を作っていくことが大切かなと思っています。

 走りの部分に関しては、ケガ前と遜色なく、いい具合まで戻っています。ただコンタクトという部分になると、筋力面で不安があったり危ない面もありますので。


――リハビリの際は、やはり最初に走りを戻す感じだった?


 走るということが私の魅力というか、持っている大事な能力です。そこはしっかりと戻しつつ、それにプラスして、ステップが切れたり、しっかりタックルに入れたりとか、付加価値をつけるようにしています。


――陸上競技の場合、ゴールに向かって真っすぐ走っていく、ある意味、単純な動きのスポーツですが、ラグビーは左右の動きだったり、相手とのコンタクトもあります。競技として一番どの点が違いましたか?


 人に当たられること、そして当たっていくところですね。怖いとは思わなかったのですが、ただ「人にぶつかる」という経験が20数年なかったので、躊躇(ちゅうちょ)してしまうと言いますか……。「ケガをさせてしまうのでは?」という部分で躊躇を覚えて、変な心配を持っていました。逆に、それをしないと自分がケガをしてしまうので、みんな「気にするな」とは言ってくれるのですが、最初はそんな自分がいました。

インターンや大学で学び 広がった視野

陸上をしていた時は「24時間アスリート」だったと語る寺田。現在は別の要素も取り入れながら競技に臨んでいる
陸上をしていた時は「24時間アスリート」だったと語る寺田。現在は別の要素も取り入れながら競技に臨んでいる【写真:築田純/アフロスポーツ】

――ラグビーと陸上はまったく違う競技かと思いますが、あえて陸上に戻らなかった理由というのは?


 陸上に戻ることを考えたことはあったのですが、ただ陸上で戻ったとしても、五輪に出られてもメダルは狙えないなと。でもラグビーの場合、私一人の力ではないし、戦術やほかのチームメンバーの力とか、私以外の力でもメダルを狙える競技であるので、私は陸上に戻る気持ちより、メダルをみんなで頑張って獲得したい。頑張って銀座のパレードに出たい(笑)! そのモチベーションが高かったです。


――2020年東京五輪でメダルを獲得して、パレードに参加したいということですね。そのモチベーションが高くなった理由は?


 最初は家族で五輪を観に行って、子どもが大きくなった時のモチベーションになってくれればいいなと思ったのですが、でもせっかく自分が挑戦するというチャンスを頂いて、挑戦する過程の中で、子どもに何かを伝えられたらいいなと思いました。また、家族一丸となって大きなものを目指すので、その中で家族みんながいい経験をできたらいいなと思っています。


――家族を持つことで考え方が変わったのですね。


 一人の時は全部自分の責任。もちろん記録を出して喜んでくれる方もいらっしゃいますが、最後は自分の力になります。それが今は、子どもも主人もいて、それに団体スポーツとしていろいろな人と一緒に目指したり、周りの方の力を借りていることが大きいです。そこがモチベーションの大きさの違いと言いますか、少しぐらい辛くても、「みんながいるから頑張ろう」と思える理由です。


 あと(陸上競技を引退した後に)インターンをさせて頂いたり、一般企業で働いたり、大学へ行ったりして、いろいろな刺激や学びを得ることで、私自身の視野も広がりました。その中で考え方も増えましたし、スポーツに対するアプローチの仕方はいろいろあるんだなと感じました。

 陸上をしていた時は「24時間アスリート」でいた部分が大きかったのですが、今はアスリートだけど、アスリートだけをしているわけではないというか、時間を作って別の要素を入れることでリフレッシュにもなるし、自分の今後の活動にもつながる相乗効果があります。ずっと競技のことだけを考えて行き詰まるより、いろいろと取り入れることで、スポーツに対してほかの見方もできますし、競技生活の後の道筋もできるので、それはすごくいい環境になったなと思います。

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