寺田明日香が担う“転向組”の使命 7人制ラグビーで「東京五輪のメダルを」

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「チーム作り」を学び、今後の人生に繋いでいく

団体競技の中で「チーム作り」を経験。それは競技を止めた後のキャリアにも繋がるだろうと話す 【スポーツナビ】

――陸上から7人制ラグビーに転向した中で、陸上での経験が生かされている点はありますか?

 陸上で培ってきたトレーニング方法や、走りの理論というのは、ラグビーにも繋がるところがすごく多いと思います。ラグビー選手は「重くて遅い」というイメージがあるかもしれませんが、そういう選手でも足が速くならないと世界で戦うことはできません。そこは私がチームに入ったことで、走りに興味がある選手、足が速くなりたいという選手が、私に聞いてくれるので、トレーニング方法を教えています。その代わりにラグビーをたくさん知っている選手にラグビーを教えてもらっているので、お互い情報交換ができているのはいいことだと思います。
 あと、私は個人競技だったのでセルフケアの仕方などもチームのメンバーより知っていたので、そういう部分も含めて教え合っていますね。

――セルフケアとはどんな部分ですか?

 練習が終わってからそのままだと、次の日の練習が辛くなって筋肉痛が長引いたりしてしまうので、練習後のストレッチだったりマッサージだったり、そういうことが大事なんだよと伝えました。私もチームでは年齢が上のほうなので(笑)。若いうちは大丈夫ですけど、私の年齢になると(セルフケアが)大事だと言っています。
 今考えると、私も高校生の頃にもっとしっかりやっていれば、ケガのリスクは減っていたのかもしれないので、そういうことは伝えられるといいですね。

――チームのメンバーとコミュニケーションを取りながら練習するという点は、陸上の個人種目ではあまりなさそうですね。

 今のチームは若い子が多いので、そういう子たちと友達感覚で話せるのは大きいですし、チームで練習に入った時はお互いにダメなところを言い合うこともできているので、いいと思います。

――チーム内での振る舞いというのも変わってきますか?

 私は年齢が上なのでコーチ側から見た選手像といいますか、コーチ側からやってほしいことを聞きますし、選手がコーチに対して思っていることをみんなから聞くこともできます。うまく自分の中で整理しながら、コミュニケーションを取っています。
 チームのキャプテンは年下なのですが、キャプテンには選手としてこういうことが大事だよと言ったりすることがあって、チーム内へ意見をリンクさせるというのは個人種目ではないことなので、これが「チーム作り」なのかなと思っています。こういう部分は私の今後の、競技を止めた後のキャリアにも繋がるのかなと感じています。

「銀座のパレード」にメダリストとして参加したい!

――現在は陸上から7人制ラグビーへの転向という経歴もあり、メディアから注目されていると思います。そのような看板を背負いつつ、競技を続けることに何か感じていますか?

 やはり転向したからには、実績をラグビーでも残さないと、今後私に続く後輩たちがラグビーへ転向するという道にも繋がらないと思うので、役割としては大きな使命だと思っています。実績とメディアへの露出をリンクさせるぐらい、もしくは実績が上回るぐらいにして、「(ラグビー界でも)寺田がいないとダメだ」と言われるくらいの選手になりたいです。

 今年、一緒に練習生で日本代表に入った選手の中に、日本体育大の陸上部から転向してきてくれた子がいるのですが、私を知っていてくれました。その子の先生が私の転向を聞いて「あなたもやってみない?」と紹介してくれたようです。そういうのはすごくうれしくて、このように転向を考えてくれる選手が増えてほしいなと思っています。
 ただ実力がまだまだなので、「(転向組でも)できるんだ」と示せればと思っています。そういう意味でも私が頑張らなきゃいけないですね。

――2020年東京五輪に向けては?

 まずは来年度、セブンズのワールドカップ(米国・サンフランシスコ)があるので、どのような形であれ日本代表のメンバーに絡んでいきたいと思っています。もちろん選ばれても選ばれなくても、少しずつ世界のレベルとの距離を詰めていけるようにやっていきたいです。
 日本代表としても今のランキングだと、(五輪を含め)全然メダルには絡めないと思うので、残り2年半で頑張っていきたいです。私はやっぱり(東京五輪での)メダルに絡みたいと思っているし、(リオデジャネイロ五輪でメダルを獲得した陸上男子リレーメンバーの)桐生(祥秀)くんたちが参加していた銀座のパレードを「いいなー」と思って見ていたので、それに私も参加できるように頑張って、上京してから東京にもたくさん知り合いが増えたので、そんなみんなと一緒に楽しみたいです。

――パレードのバスを下から見るではなく、バスに乗って声援を送られるほうになりたいということですね。

 はい! みんな、知っている人がいたらうれしいと思いますし、入賞では乗れないので、絶対、メダルを取ってパレードに参加したいです!

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