【大日本プロレス】過激に“インスタ映え”する大日本 橋本大地が6年目でシングル初戴冠

高木裕美

デスマッチ王座戦は狂乱のクリスマスパーティー状態!?

危険すぎるリングで最後に立っていたのは竹田。デスマッチヘビー級王座V3に成功した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントのBJW認定デスマッチヘビー級選手権試合では、「血みどろDANGEROUS CHRISTMAS FOR DEATHMATCH〜蛍光灯ツリー&ガラスボード+αデスマッチ〜」と題し、王者・竹田誠志に前王者の高橋匡哉が挑戦。血みどろの死闘の末、竹田が返り討ちにし、3度目の防衛に成功。次は来年の1.2東京・後楽園ホールで、塚本拓海とV4戦を行うことが決定した。

 両者は8.19名古屋で、同王座を賭けて蛍光灯+ダブルガラスボードデスマッチで対戦。14分8秒、リバースUクラッシュで、挑戦者であった竹田が勝利し、王座初戴冠を果たしていた。

 リング上には、蛍光灯で作られた約3メートルの巨大なツリーと、「MERRY CHRISTMAS」と書かれたガラスボードが設置され、まさに狂乱のクリスマスパーティー状態。両者はゴング直後から蛍光灯で豪快に殴り合い、「乾杯」代わりのあいさつをかわすと、竹田がハサミを高橋の顔面に突き立て、Tシャツを切り裂いてしまう。高橋も蛍光灯タワーごと竹田をイスで粉砕してお返し。10分過ぎ、竹田がおもむろに取り出したのは、フォークと鉛筆がギッシリと上向きに突き刺さったクリスマスケーキ。この、ヤバすぎる鋭角地獄に、竹田自身が背中から激突。すかさず高橋がジャックハマーでトドメを狙うが、執念のカウント2でキックアウト。ならばと高橋はガラスボードへの雪崩式技を狙うが、逆に竹田がスパイダージャーマンで見事クラッシュ。さらに竹田はバケツに入ったガラスを浴びせて、セントーンクラッシャー、蛍光灯上へのジャーマンスープレックスからのリバースUクラッシュで、ベルトを死守した。

「今、このリングに立ってるのはこのオレ。このベルトが手にあるのもこのオレ。これが現実なんだよ」と勝ち誇る竹田に、高橋も「あきらめない。何回だって挑戦してやる」とリマッチを要求。竹田も「この(横浜)文体で、もっとすげえことしようぜ」と、来年5月もしくは12月の再戦実現を約束した。さらに竹田は、デスマッチ第5世代と呼ばれる次世代選手たちにも「おまえら第5世代が頑張らないと、この風景は変わらない。大日本のデスマッチが終わっちまう」とハッパをかけると、塚本が「オレはデスマッチを盛り上げる自信も覚悟もある。オレとやりましょうよ」と挑戦表明。これに対し、竹田も「このベルト、本気で獲りに来い。正月にふさわしくない狂った試合をして、後楽園ホール を満員にするぞ」と、新年早々、お屠蘇気分を吹き飛ばすような凄惨なデスマッチを行うと宣言した。

 団体の20年以上に及ぶ歴史の中で、試合形式も戦う選手たちも、様々な変遷を遂げてきたデスマッチ王座。過去には、新日本プロレスで現在、負傷欠場中の本間朋晃や、今年、全日本プロレスの三冠ヘビー級王座を獲得した石川修司なども戴冠。また、09年には、葛西純vs.伊東竜二のカミソリボードデスマッチがプロレス大賞ベストバウトを受賞している。単なる「ガマン比べ」ではない、レスリングセンスや肉体の頑丈さ、ひらめきやセンスを問われる戦いの中で、今後も新たなスターや、刺激的な戦いが生み出されていきそうだ。

大地、父の代名詞技で鈴木をしとめる

橋本大地(左)がデビュー6年目にして初の王座獲得 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのBJW認定世界ストロングヘビー級選手権試合では、橋本大地が王者・鈴木秀樹を破り初戴冠。父である“破壊王”こと故・橋本真也さんを彷彿とさせるキックと垂直落下式DDTで、デビュー6年目にして初めてベルトを獲得した。

 両者は8.19名古屋でも同王座を賭けて対戦し、鈴木が14分21秒、ダブルアームスープレックスで4度目の防衛に成功していた。

 大地は中学1年生の時に父・真也さんが死去。高校在学中からプロレスラーを目指し、11年3.6ZERO1両国国技館大会の蝶野正洋戦でデビュー。若手ながら大物レスラーたちとシングルで多数対戦した。その後、IGFへの移籍を経て、16年1月に大日本に正式入団。今年は神谷英慶とのタッグ「大神」で大日本の「最侠タッグリーグ」で初優勝を果たすと、本家・全日本プロレスの「世界最強タッグ決定リーグ戦」でも、初出場ながら準優勝という成績を残した。

 鈴木は“人間風車”ビル・ロビンソンさんのまな弟子として、08年11月にIGFのリングでプロレスデビュー。14年からはフリーとして様々な団体に参戦し、ZERO1の世界ヘビー級王座や、WRESTLE−1のWRESTLE−1チャンプオンシップ王座などを獲得。今年は大日本で関本大介からストロング王座を奪取し、大日本勢を総ナメにしてこれまで5度の防衛に成功。プロレス大賞・技能賞を獲得するなど、その実力を広く世に知らしめた。

 大地がキックのコンビネーションで攻め立てると、鈴木はその蹴り足をつかんでキャプチュードで投げ、さらにニードロップ、卍固め。大地もファルコンアローで反撃に出るが、鈴木はローキックをブチ込むと、「立て、コラ」とゲキを飛ばす。なおも鈴木はツームストンパイルドライバー、バックブリーカーを繰り出すも、必殺のダブルアームスープレックスは不発。大地は袈裟斬りチョップで活路を見出し、浴びせ蹴り、DDTを決めると、鈴木のフランケンシュタイナーを押しつぶし、シャイニングウィザードを発射。粘る鈴木にスライディングエルボーを突き刺し、父親の代名詞であった垂直落下式DDTでフィニッシュを決めた。

 以前から「親父と自分とは違う」と、“破壊王二世”としてのジレンマに苦悩していた大地は、ようやく自分の手でベルトをつかんだことで「めっちゃうれしい。これからひとつずつ、レベルアップをしていきたい」と安どの表情。鈴木という強敵との出会いや、神谷との「大神」結成を通じて覚醒したことで、今後はチャンピオン・橋本大地として“爆勝宣言”していく。

アブ小&伊東組がV3「オレたちの未来を見せてやる」

横浜ショッピングストリート6人タッグは関本大介&神谷英慶&佐藤耕平組がベルトを奪取 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 横浜ショッピングストリート6人タッグ選手権試合では、関本大介&佐藤耕平&神谷英慶組が、浜亮太&中之上靖文&岡本将之(元・将軍岡本)組を破り新王者組に輝いた。

 全員100キロ超えのヘビー級対決は、15分を超える肉弾戦に。これまで3度の防衛に成功していた王者組に対し、関本がエルボー、佐藤がサッカーボールキックでダメージを蓄積させると、王者組の標的となっていた神谷も、浜のヒッププレスをかわして自爆を誘う。関本と佐藤が200キロ超えの浜を合体ブレーンバスターで投げ飛ばすと、神谷が浜をラリアットで粉砕した。

伊東が鉄檻からのドラゴンスプラッシュで植木を仕留めBJW認定タッグ王座を防衛 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「大日の未来、血みどろの未来、横浜みなとみらい〜Fly to the future Death match〜」と題したBJW認定タッグ選手権試合では、王者組のアブドーラ小林&伊東竜二組が、植木嵩行&佐久田俊行組を退け、3度目の防衛に成功した。

 ダジャレのような試合タイトルになぞらえ、リング上には、横浜みなとみらいの風景を模した、三日月型有刺鉄線ボードやマリンタワー風鉄檻などがズラリ。挑戦者組は開始早々、小林を鉄檻に突っ込ませると、佐久田が巨大ピザカッターで小林の顔面を切り刻んでいく。さらに植木が伊東に有刺鉄線ブレーンバスター、小林に合体ショルダーをたたき込むが、有刺鉄線ボード上へ狙った摩周は、わずか155センチの佐久田の身長のせいか、飛距離が足りず。ならばと植木が鉄檻からのダイビングヘッドバットを狙うも、かわされて自爆。小林のラリアットから伊東が鉄檻からのドラゴンスプラッシュで植木を仕留めた。

 試合後、マイクを握った伊東は「おまえらの勢いは認めよう。でも、おまえらの目指す未来はどこにある。オレと小林にも未来がある。グレート小鹿にも未来がある。若いからって未来があると思うな。オレたちの未来をこれから見せてやる」と、まだまだ世代交代は許さないと断言。これに対し、植木も「体が折れても心は折れていない。何回でも挑戦してやる」とリマッチを要求した。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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