みんなの愛馬キタサンブラック3年の足跡 泣いて笑って歌って、そして愛されて

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菊花賞で人馬ともに初GI制覇、『まつり』熱唱

デビューから3連勝で2015年GIIスプリングS勝利、北島オーナー(右から2人目)にとって14年ぶりのJRA重賞勝利だった 【スポーツナビ】

 そして、キタサンブラックを間近で取材する機会が思いがけず、すぐに巡ってきた。1カ月後の3月22日の中山競馬場、GIIスプリングステークス。クラシックの主役候補と目されていたリアルスティールをクビ差抑え込み、見事、重賞初制覇を達成するのだ。
 北島三郎さんにとっては、2001年のキタサンチャンネル(GIIニュージーランドトロフィー)、キタサンヒボタン(GIIIファンタジーステークス)以来14年ぶりの重賞勝利。北島オーナーは興奮の面持ちで「気分は最高です!」と喜びを爆発させていたのだけど、僕も国民的演歌歌手の話を間近で聞くことができて大興奮だった。と同時に、皐月賞、ダービーの春クラシックはキタサンブラックと心中する!と心に決めたのだった。

「勝ったら歌う!」とサブちゃんが宣言して挑んだクラシック第1弾・GI皐月賞は懸命に粘るも、ドゥラメンテの豪脚に屈し3着。続くダービーは暴走気味のペースにつられるように先行してしまい14着惨敗……。多くの競馬ファンがそうだったかもしれないが、僕も「このあたりが限界なのかなぁ」と勝手に見切りをつけてしまったものだ。しかし、キタサンブラックはここからの“ファイトバック”が凄かった。

北村宏の好騎乗も印象深い15年菊花賞でGI初制覇! 【スポーツナビ】

 夏休みを挟んだ秋初戦のGIIセントライト記念で復活の重賞2勝目。迎えたクラシック最終戦・GI菊花賞では5番手追走から、出入りの激しい乱ペースに飲み込まれるように3コーナーでは一旦中団まで置かれてしまうものの、ここで冷静に脚をタメたキタサンブラックは直線インから馬群を縫うように抜け出し、馬にとっても北島オーナーにとっても初のGIタイトルを奪取した。
「北村君が最高にうまい乗り方をしてくれました。私も今日はスーツでビシッと決めてきたんだけどね、馬に乗った北村君の横に並ぶと負けちゃうね(笑)」

『まつり』の生歌熱唱が始まったのもこのレースからだった 【スポーツナビ】

 男泣きの北島オーナーはそう北村宏を絶賛したのだが、その通りの好騎乗だった。そして、この2015年秋は主役と見られていたキズナ、ドゥラメンテが相次いで戦線離脱していた時期でもあった。そのタイミングでGIホースの仲間入りを果たしたキタサンブラックは、まさに待望の新スター誕生だったのである。ちなみに、その後しばらくの恒例となったサブちゃんの生歌が始まったのも、この菊花賞からだ。

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